この記事をまとめると

■車両保険の金額は基本的に低年式になるにつれて下がっていく

■時間経過によって価格が上昇した中古車も例外ではない

■クラシックカー保険に加入するのもひとつの手

AE86は車両保険に入れない!?

 令和になって昭和のクルマの値段が上がり続けています。たとえばAE86スプリンタートレノの相場は350〜400万円といったところで、もはや新車時価格(130〜160万円)の倍以上となっています。

 このように古くなったことでなおさら価値が上がってしまったクルマで問題になるのが車両保険の設定金額です。通常の保険会社の計算では新車でのメーカー希望小売価格を基本に、減価償却を考慮して年々設定額が下がっていくものだからです。

 限定モデルを除いて、量産車で考えるとこうした減価償却的な考え方でクルマの価値を測るというのはたしかに適切です。実際、新車から7年目くらいまでは車両保険で設定できる金額というのは、中古相場よりも若干高めにできることが多く、納得いくことが多いものです。

 しかし、こうした計算方法では、AE86のように時間経過によって中古車相場が上昇してしまったケースには対応できません。

 いわゆるネット保険と呼ばれるインターネットで完結する保険会社で見積もりをとってみると、AE86については「車両保険が設定できない」という風になってしまうことが多いようです。価値の高くなった旧車は通常では車両保険に入れません。なんとも悲しいことですが、これが現実です。

 そうなると、もし事故を起こしてしまうと車両の修復は完全に自腹になります。自分のミスによる事故であれば、それでも納得できるかもしれませんが、相手がいて、なおかつ相手の過失が大きいような事故においても、相手方の保険会社から満足いく支払いが得られないというのはよくある話です。

 追突のような0:100の事故ケースであれば「原状回復」を強く求めたくなるものです。減価償却的な価値はゼロであっても、中古車相場に基づいた時価額を求めることは論理的には可能ですが、その場合は素人ではおそらく保険社会には太刀打ちできず、弁護士に依頼することになるでしょう。

 まして、お互いが動いている状態の交通事故では過失割合が50:50になってしまうこともあります。そうなると、相手の保険から十分な補償もなく、自分側は車両保険に入っていないということで、やはり自腹で修理することになってしまいます。

 結局のところ、価値の上昇している旧車の場合、貰い事故を含めて交通事故を避けるような運転をするしかないということになってしまいます。愛車をキレイに保っておくというのはオーナーとしては至上の喜びかもしれませんが、公道を走るとき常にビクビクして走るというのもストレスが溜まります。

クラシックカー保険に入るのも手!

 数少ない対応法として考えられるのは、適切な車両保険金額が設定できるクラシックカー保険に加入するというものです。

 たとえばチャブ保険のクラシックカー保険の加入条件は、製造から25年以上経過と年間走行距離5000km以内というものです。この条件に合う旧車であれば加入できるのです。

 同社の車両保険金額の算出方法は、減価償却的なものではありません。購入金額や市場価格から導くため、オーナーでも納得いく金額となることが多いようです。ただし、レストア費用などは考慮しないということですから、そこは留意しておく必要があるでしょう。

 当然、年々車両保険金額が下がるというようなこともありません。

 さらに、1975年以前の製造で、年間走行距離が2000km以内であれば保険料は20%も割引されるというのも同保険の特徴。そもそも趣味として所有している旧車の場合、それほど動かさないというケースも多く、そうした実状を考慮した設定となっているわけです。

 いずれにしても、旧車であっても毎日のように乗っていて、年間5000km以上は走ってしまうというオーナーは、少なくともチャブ保険のクラシックカー保険の対象外となります。

 そして、通常の自動車保険に加入する場合は、旧車に車両保険は付帯できないという状況になってしまうことがほとんどでしょうから、やはり前述したように、貰い事故を避けることも含めて、最大限に注意しつつ愛車とのカーライフを送ることになってしまうでしょう。自動車保険の面から見ても、単純に古いクルマを大事にするというのは難しい時代なのです。

 その意味でも、趣味として旧車を愛でるのであれば日常的に使うセカンドカーを用意するというのが理想的なソリューションになります。ただし、セカンドカーを持つというのは駐車場代、自動車税、任意保険等の維持費が倍増していまいますから、その手がとれるオーナーは限られてしまうのも事実です。