錠剤を包装する「PTPシート」の高機能化が進む事情
国内トップシェアのメーカーは住友ベークライト、三菱ケミカルなどが続く。一般的なシートの厚さは200マイクロ―300マイクロメートルだ。ポリ塩化ビニール(PVC)やポリプロピレン(PP)の単層のほか、ポリエチレン(PE)などを重ねたシートがある。水蒸気に加え、紫外線や酸素、光からのバリアー性を高めるのが狙いだ。
近年求められているのが、錠剤の取り出しやすさだ。指でシートから押し出す力が弱い高齢者が増えているためで、薄くするなどして固さを抑える工夫をしている。
薬剤師への配慮も背景にある。患者の飲み忘れや飲み間違いを防ぐため、薬剤師がPTP包装から薬を取り出し、1回分ずつ袋に包装し直す「一包化」の需要が増えている。この作業が指に負担だと感じる薬剤師は多く、シートの押し出しやすさは重要だ。
水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)の増加で、防湿性のニーズも高まっている。OD錠は湿気に弱いため、PTP包装には高い気密性が求められる。
三菱ケミカルはポリ塩化ビニリデン(PVDC)系で「国内最高水準の防湿性」を持つシートを開発した。従来品は1平方メートルのシートを透過する1日当たりの水蒸気が0・21グラム以上だったが、0・13グラムに抑えている。住友ベークライトは防湿性と取り出し性を両立できるオレフィン系樹脂シートの開発に取り組む。
誤飲対策も重要だ。子どもや高齢者が包材ごと薬を飲み、包材が消化器などを傷つけてしまうことがある。住友ベークライトは苦みや辛みを付与したフィルムや、誤飲した場合にも内臓が傷つきにくい、柔らかいシートを開発した。ただ「GMP(医薬品の製造・品質管理基準)との兼ね合いがあり、商品化は簡単ではない」(吉田優フィルム・シート営業本部医薬品包装営業部長)。
同社は保管時の臭い対策として、PE層とPE層の間に、消臭層を設けたシートを開発。環境配慮型の素材を訴求する動きも出ている。三菱ケミカルは植物由来樹脂を用いたシートを出している。
日本の医薬品メーカーはPTPシートに、異物混入防止など高い品質を求める。このため、海外から参入を図る動きは少ない。海外の医薬品メーカーは包材に機能よりも安さを求める傾向があり、住友ベークライトの吉田部長は「現在は日本を中心に展開している」と話す。
