口汚い中傷、奇妙なイラスト

6月11日、議員会館に入るすべての自民党議員の事務所に、ある小冊子が25部ずつ届けられた。

「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」と題された142ページの冊子だ。「自由民主党本部」名で同封されていた文書には、こう記されている。

「近年、野党や一部メディアで誤った情報を発信することが度々見受けられます。同書はこうした認識をただし、報道では語られていない真実を伝える内容となっています。(略)参院選に向けた演説用資料としてご活用ください」

ところが、その冊子をめくると、惚けた枝野幸男氏のイラストとともに「枝野氏は、(略)JR総連などから献金を受けており、革マル派に近いといわれています」と中傷したかと思えば、「オワコンの小沢氏に頼る国民民主の情けなさ」など、野党への口汚い攻撃のオンパレードだ。これが演説用資料とは本気だろうか。

出版社や発行者、連絡先も載っていない。「テラスプレス」なるニュースサイトの記事をピックアップしたとあるが、そのサイトは、運営元さえ不明の匿名ページだ。

自民党の中堅議員は「なぜこんなものが配られているか、全然わからない」と眉をひそめるし、若手議員は「内容も下品だし、怪文書だと思ったから誰にも配ってないよ。党本部を騙る誰かがやったんじゃないか?」と言うが、自民党本部の広報担当者に訊ねると、「本を配るというのは、これまでもしていました。だから今回が特別ということではない」と配付を認めるのだ。目的は?

「ただ『読んでください』という以上でも以下でもありません」(同)

「怪文書」を本気でばらまいたのだとしたら、笑い事では済まされない。

『週刊現代』2019年6月22・29日合併号より