皆さんはご両親のことをなんて呼びますか? アメリカでは両親のことをファーストネームで呼ぶ家が増えてきているのだそうです。そして日本でもその傾向が徐々に表れているそう。「お父さん・お母さん」「パパ・ママ」という呼び名がいつかなくなる日が来るかも? 今回は、100年ほど前の日本でちょっとした論争になった「両親の呼び方」のお話です。


パパ? お父さん? 作家や政治家が白熱した「パパママ論争」



時代とともに変化していくもののひとつに「言葉」があります。
そして変化していくときには、必ず賛成派と反対派が熱い論争を繰り広げるもの。
「両親の呼び方」も、そのひとつでした。

皆さんはご両親のことをどのように呼ぶでしょうか。
「お父さん・お母さん」? 「パパ・ママ」?
パパやママは比較的最近の言葉、と思いがちですが、実はこの両方とも同じ時代、明治の中期に入ってきたものです。

江戸時代、子どもは父親のことを「おっとう」や「おとっつぁん」、母親のことを「おっかあ」などと呼んでいました。
明治に入り、こうした庶民の言葉と山の手で使われていた「お父様」の中間である「お父さん」が登場。
明治36年には国定教科書が「おとうさん・おかあさん」という言葉を初めて載せました。
そんな中、明治後半に洋行帰りの貴族たちが使い始めたのが「パパ・ママ」。
欧米に憧れていた人々の中で、子どもたちにこう呼ばせることが流行したのです。

こうした「パパ・ママ」呼びに、拒否反応を示す人も現れました。
大正6年には、俳人であり作家の高浜虚子は「パパという呼び名は、吹けば飛びそうで嫌だ」と発言。
これに対し与謝野晶子が「日本は文字も法律も外国から移植した。ことさら忌む理由なし」と反論するなど、「パパママ論争」が巻き起こったのです。

昭和に入ってもこの論争はたびたび起こり、ある政治家は、こんな発言も。
「近頃、パパだのママだのが流行っているが、もってのほかだ。日本古来の孝道が廃れる。直ちに駆逐せよ」
そんなにまで嫌だったのでしょうか。
こうした言葉とは裏腹に、戦後「パパ・ママ」はさらに広がっていきました。

お父さん・お母さんも、パパもママも、歴史的には同じ時期にできたもの。
どちらでも良いと思うのですが、当時の人たちにとっては大きなことだったのかもしれませんね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎週月〜木曜にお送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、1月26日放送「過熱する、パパママ論争!」よりお届けしました。

<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/


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