【TDS】ジェラトーニはなぜ絵描き? 人気レストラン「リストランテ・ディ・カナレット」のカナレットは実在した画家だった
東京ディズニーシーで最も予約が取りづらいレストラン「リストランテ・ディ・カナレット」をご存知でしょうか。
来園前に行えるオンライン席予約、当日行える席予約ともに取りづらく、食事時には1時間以上の行列ができる言わずと知れた東京ディズニーシーの人気レストランです。
東京ディズニーシーの南ヨーロッパの港町をコンセプトにしたテーマポート「メディテレーニアン・ハーバー」に属し、ヴェネツィアを模した小さな運河沿いに建造されています。
落ち着いた雰囲気の店内では、窯焼きピッツァやパスタ、ワインやビールを楽しむことができ、デート中のカップルやゆったりとした食事を希望するファミリーに好まれています。
参考:東京ディズニーリゾート公式サイト リストランテ・ディ・カナレット
店名の「リストランテ・ディ・カナレット(Ristorante di Canaletto)」は、イタリア語で、「カナレットのレストラン」という意味。
18世紀に活躍した画家カナレットに由来しており、店内にはカナレットの作品が飾られています。
カナレットの本名はジョヴァンニ・アントニオ・カナル(Giovanni Antonio Canal)ですが、父親も画家だったため区別するために「小さいカナル(Canaletto)」と呼ばれていました。
■カナレットが生み出す写真のような風景画
風景画家、銅版画家として活躍したカナレットは、当時の欧州のリアルを映し出す写実性に加え、巧みな遠近法、細やかな色彩感覚から生み出す明暗の描写が特徴的で、景観図・奇想画ともに優れた作品を残し、生前から高い評価を得ていました。
口語で表現すると「ヤバイ!(まるで写真のようだが、絶妙な光の表現で絵に生み出された物語が、好奇心をかきたてる。)マジヤバイ!(写真のような画風にもかかわらず、ちょいちょい想像で書いた街の絵を挟んできて、パッと見では区別できない。)」です。
カナレットは作品の多くを「カメラ・オブスキュラ」という機械を使用し、下絵を描いていたと言われています。
「カメラ・オブスキュラ」とは、ラテン語で「暗い部屋」。
カメラの由来にもなった装置で、ピンホールカメラのように、外の風景を暗い内側に映し出すことができ、実際の風景をトレースすることが出来ました。
カナレットの使っていたとされるカメラ・オブスキュラは、ヴェネツィアのコッレール美術館(Museo Civico Correr)に保存されています。
東京ディズニーシーにある「フォートレス・エクスプロレーション」という散策系アトラクションには、カメラ・オブスキュラの実物が設置されています。
かなり大型のカメラ・オブスキュラですが、カナレットが見た世界を疑似体験するのも興味深いかと思います。
■現在のカナレット邸はホテル
カナレットは、ヴェネツィア、ローマ、イギリス、ヴェネツィアと移り住みましたが、カナレットが住んでいた邸宅は現在ホテルとして稼働しており、宿泊することができます。
そのホテルが「ホテルカナレット」と「サンマルコ ラグジュアリー カナレット スイーツ」、どちらもヴェネツィアにある三ツ星ホテルです。
■ホテルカナレット(Hotel Canaletto)
所在地:Castello 5487 - 30122 Venice, Italy
カナレットの生家を利用したホテルです。
人気の観光スポット、サンマルコ広場(St. Mark's Square)とグランドキャナル大運河(Canal Grande)にかかるリアルト橋(Rialto Bridge)の中間に位置し、どちらにも徒歩で移動できます。
予算は、朝食込みで1〜3万円(時期やレートにより変動します)。
■サンマルコ ラグジュアリー カナレット スイーツ(San Marco Luxury - Canaletto Suites)
所在地:San Marco 288 - 30124 Venice, Italy
カナレットの旧邸宅を利用した豪華なアパートホテル。
カナレットが晩年に残した作品「南西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場」「北西の角から大聖堂を望むサン・マルコ広場」の場所にほど近い。
近いどころかサンマルコ広場(St. Mark's Square)に面しているというとんでもない良立地で、もちろんグランドキャナル大運河(Canal Grande)は徒歩圏です。
予算は、朝食込みで10〜20万円(時期やレートにより変動します)。
日本からヴェネツィアまではおよそ15時間。
直通の飛行機はまだまだ少ないので、日本からミラノに飛んだあと鉄道でヴェネツィア、あるいは他国を経由してヴェネツィアに訪れるのがポピュラーな経路です。
■本物を見られる日本の美術館
作品のレプリカは、東京ディズニーシーのレストラン「リストランテ・ディ・カナレット」で見ることができますが、現存する作品の多くは海外の美術館に収蔵されています。
しかし、幸運にも日本国内でカナレットの作品を展示している美術館が存在します。
東京富士美術館
所在地:東京都八王子市谷野町492-1
「ヴェネツィア、サンマルコ広場」1732-33年頃 油絵
「ローマ、ナヴォーナ広場」1750-51年頃 油絵
「ローマ、クィリナーレ宮殿の広場」1750-51年頃 油絵
※2014年10月現在の情報です。これらの絵が展示される収蔵展は2015年3月29日まで予定されていますが、その後も展示が継続されるかどうかは、美術館にお問い合わせください。
現在は展示を行っていませんが、カナレットの作品を収蔵している美術館も存在します。
国立西洋美術館
所在地:東京都台東区上野公園7-7
「司教の碑の見える町」版画
静岡県立美術館
所在地:静岡市駿河区谷田53-2
「ドーロ風景」1740-43頃 版画
また、現在美術品のデジタルアーカイブ化が進み、作品の多くをweb上で閲覧することができます。
カナレットが生前イギリスで成功していたことから、イタリアの他イギリスの美術館にカナレットの作品が収蔵されている場合が多くあります。
Royal Collection Trust(イギリス王室コレクション)
The National Gallery, London(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)
■小さな運河とジェラトーニ
冒頭で紹介したとおり「リストランテ・ディ・カナレット」は、ヴェネツィアを模した小さな運河沿いに建造されています。
その運河の名前は「パレッツォ・カナル(Palazzo Canal)」。イタリア語で「邸館の運河」。小さなカナルと呼ばれたカナレットの本名"カナル(Canal)"とは、運河という意味を持っています。
限りなく現実に近い空想画を得意としたカナレットの絵が、ヴェネツィアを模した東京ディズニーシーに飾られていること、そこに流れる小さな運河とカナレット…思わずクスッっとしてしまいませんか。
カナレットの絵画の他にも、パレッツォカナルには古き良きヴェネツィアへと導く様々な品が設置されています。
冒険とイマジネーションの海へ 東京ディズニーシーは、世界につながっているのです。
2014年春に、このパレッツォカナルで新しいディズニーキャラクターが誕生しました。
彼の名前は「ジェラトーニ」。ジェラトーニは小柄な芸術家の猫で、ダッフィーの新しいお友達です。
この街がパレッツォカナルだったからこそ、このキャラクターが生まれてきたのでしょう。
私が感じるカナレットの作品の魅力は、写実性と明暗による演出、風景の正確さと描かれた物語。
ヴェネツィアに模して作られたパレッツォカナルが写実ならば、ジェラトーニは演出。
「リストランテ・ディ・カナレット」やパレッツォカナルに設置された工芸品に心惹かれるように、ジェラトーニがどんなキャラクターとして成長していくのか、どんな物語を生み出すのか、私はどうしてもワクワクしてしまうのです。

