来場所での大関復帰を目指す

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 夏場所を休場したことで、7勝8敗だった春場所に続いて2場所連続の負け越しとなった大関・安青錦。7月の名古屋場所で関脇に転落するが、新大関から在位3場所での陥落は昭和以降2番目の短さとなる。ここからも厳しい道のりが待ち受けることになりそうだ。

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 安青錦が入門後に初めてぶつかった壁だ。初土俵から最速となる所要14場所で大関に昇進し、新大関場所で優勝。戦後最速(所要16場所)での横綱昇進への挑戦の権利を得たが、先場所は序盤に2敗し、敗れた一番で左足小指を骨折した。苦しみながらも7勝7敗で迎えた千秋楽で敗れて初の負け越し。序ノ口から14場所続いていた連続勝ち越し記録もストップした。

 カド番で迎えた夏場所は場所前の荒汐部屋への出稽古で左足首を負傷して初日から休場。途中出場の可能性もあったが、師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)が全休を明言し、大関陥落となった。

「来場所は10勝以上をあげて特例での大関復帰を目指すことになるが、かなり厳しい現実が待っている」と相撲ジャーナリストは話す。

「関脇での10勝での特例復帰制度がスタートした1969年以降、のべ29人の陥落力士のうち大関復帰に成功したのは三重ノ海・貴ノ浪・武双山・栃東(2回)・栃ノ心・貴景勝の6人だけ。2019年に貴景勝が特例復帰を決めて以降、栃ノ心(2度目の陥落)、高安、朝乃山(出場停止)、御嶽海、正代、霧島(のちに再昇進)、貴景勝(2度目の陥落)が10勝をあげることができなかった。

 これはガチンコ全盛時代による番付崩壊の影響ともされます。かつて大関互助会と呼ばれていた時代はケガ以外で大関が負け越すことも稀だった。当時、カド番から大関を陥落したのは大受、魁傑、三重ノ海などガチンコ力士ばかりで、必然的に返り咲いたことがある力士もガチンコ勢ばかりとなった」

場所後のイベントは…

 師匠の安治川親方は「来場所は10勝ではなく、優勝を目指す。安青錦らしい相撲が取れるように、私が判断した」と再出場しない理由を説明したが、手負いの安青錦に2ケタ勝利は厳しいという見方もある。若手親方が言う。

「もともと、稽古場での番数が多くない。四股、てっぽう、すり足、ウエイトトレーニングの基礎稽古を中心に汗を流すタイプ。その基礎運動もダンベルを持ち上げて上半身を中心に鍛えている段階。明らかに番数が足りない。

 また、夏場所後の引退相撲や凱旋興行となるパリ公演(6月13、14日)には参加する方向で、6月8日には都内のホテルで"大関昇進披露宴"を開く。八角理事長(元横綱・北勝海)らも出席する協会の公式行事です。次場所の番付発表まで大関の地位は変わらないが、陥落が決まった大関の昇進披露宴は極めて異例。

 いろんなプレッシャーのなかでの名古屋場所となるが、蒸し暑い名古屋は体調管理が難しいとされる。しかも安青錦は十両に昇進後、8場所連続2ケタ勝利を挙げたが、優勝した場所も含めて最もいい成績は12勝。小兵だけに圧倒的な強さを誇っていたわけではなかった。逆風のなかでの特例復帰を目指すことなる」

 大関・霧島が今場所優勝すれば次は綱取り場所となる。一方、もうひとりの大関・琴櫻は早々に負け越しとなってカド番へ。来場所、関脇に陥落したカド番大関・安青錦が10勝して大関に特例復帰できない場合、霧島と琴櫻の成績次第では「大関ゼロ」という危機的番付となる可能性も出てきた。