女性に覆いかぶさるアンドリュー元王子(米司法省より)

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 2022年9月に崩御したエリザベス2世女王の評価が、いま静かに書き換えられている。70年の治世を通じて築いた「揺るがぬ君主」という神話が、死後に公開された文書によって綻び始めているのだ。

【写真を見る】女性の上に四つん這いになるアンドリュー元王子、王室イベントでエリザベス女王の真隣に立つ元王子など

 転機となったのは、米司法省が2026年1月末に追加公開した約300万ページに及ぶ「エプスタイン・ファイル」。その中には、2011年3月、アンドリュー元王子の側近がジェフリー・エプスタイン元被告(2019年、享年66)に送ったとされるメールが含まれていた。

 そこには、《彼(アンドリュー)は母親から全面的な支持を受けている。あなたとの関係だけが"軽率"と見られている》と記されている。

 当時すでに、元王子はエプスタイン元被告との交友をめぐり批判の渦中にあった。未成年の時に性的虐待を受けたと訴えるヴァージニア・ジュフリー氏(2024年、享年41)との写真や、元被告との親密な関係を示す報道が相次いでいた状況だ。

「その中で送られたこのメールが示唆するのは、王室側の関心が、行為の是非そのものではなく"どう見られるか"という点に置かれていたことです。

 少なくとも文面上は、元王子の行為の道徳性を女王側が問題視していなかったというように読める。このメールの内容は、女王の名誉を揺るがすものとして英メディアでは『女王の第二の死』との表現も使われ始めています」(海外ジャーナリスト)

 この構図は、その後の対応にも繰り返し現れる。2019年11月、アンドリュー元王子は英BBCのインタビューでジュフリー氏の主張を否定したが、その説明は説得力を欠き、英国内で批判が噴出。数日後、公務から退くことを発表した。

 その直後、女王は元王子とともにウィンザーで乗馬する姿を報道陣に見せた。この行動は、スキャンダルの渦中にあっても、元王子がこれまでと変わらぬ生活を送っている様子を印象づけるものだった。

アンドリュー元王子は「女王に一番近い王族」とのメッセージ

 2022年、女王の記念すべき在位70周年を祝福する「プラチナ・ジュビリー」の年に、ジェフリー氏との民事訴訟が和解に至った。和解金については約1200万ポンド(約18億円)とも伝えられ、複数のメディアによると「女王が資金面で大きく支えた」とされる。

「和解の翌月に行われたフィリップ殿下の追悼礼拝において、女王はアンドリュー元王子の腕を取り、ウェストミンスター寺院へと入場しました。性的虐待疑惑の民事訴訟で和解した直後でのこの行動は、衝撃を持って受け止められ、『アンドリュー元王子は、なお王室の中心にいる』『女王に一番近い王族である』とのメッセージだとする向きもありました」(同前)

 同年9月、女王は崩御。問題はチャールズ国王へと引き継がれた。

イースター期間中に元王子を訪ねた兄弟

 2026年2月19日、エプスタイン・ファイルに含まれた文書をきっかけに、アンドリュー元王子は公務上の不正行為の疑いで逮捕され、その後、捜査継続のまま釈放された。

 異例の逮捕を受け、チャールズ国王は即座に「法の正義に委ねる」との姿勢を示したが、ネット上では「王室はアンドリューを匿っている」「これまで何もかも揉み消してきた」といった声が噴出した。

 さらには、元被告との交友をめぐり、元王子が「100人のボディコン女性を集めたパーティー」に関与していたとする報道や、「乳房のおもちゃ」で男児と遊ぶ写真が公開されるなど、継続的にスキャンダルが報じられてきた。

「チャールズ国王は弟のアンドリュー元王子と距離を取っているようですが、末弟のエドワード王子はイースター期間中に元王子を訪ね、『兄弟として精神的な支援を行った』と英メディアは報道。いまだ家族として交流を続ける姿勢に、批判が高まっています。

 しかし、最も問われるべきは、何があってもお気に入りの息子の庇護を続けた女王であるとの見方も強まっています。強い権力を持つ母が常に味方でいてくれるという信頼が、元王子の行動に影響を与えてきたのではないかと指摘されているのです」(同前)

《彼は母親から全面的な支持を受けている。あなたとの関係だけが"軽率"と見られている》──そのメールが示しているのは、王室において、何が優先されてきたのかという点だ。女王が生涯をかけて積み上げた名誉が、英国内で揺らいでいる。