創業者の辻信太郎氏も頭が痛い(C)日刊ゲンダイ

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【経済ニュースの核心】

フジ・メディアHDの株価は年初来高値へ きっかけは村上ファンドから受けた不動産売買提案

 人気キャラクターの「ハローキティ」などを手掛けるサンリオは16日、常務取締役が複数年にわたり、米子会社から合計数億円の不適切な報酬を受け取っていた疑いがあると発表した。

 この常務は同社の指名・報酬諮問委員会で定められた報酬のほか、2021年から25年まで最高経営責任者(CEO)を務めた米国子会社「サンリオインク」から別途報酬を受け取っていたとされる。内部通報を受けて社内調査を実施したところ、数億円の追加報酬を得ていた疑いが発覚したという。

 サンリオによると、疑いを持たれているのは斎藤陽史常務取締役で、16日の取締役会で退任を決定。すべての職務を停止するとともに、今後、独立した専門機関と詳細を調査する方針だ。

 この不祥事に、「あまりにタイミングが悪い」と、取引銀行幹部は眉をひそめる。サンリオは4月3日、創業者の辻信太郎氏の名を冠した「山梨いちごの王さまミュージアム サンリオ創業者 辻信太郎記念館」を、同氏の出生地である山梨県甲斐市にオープンしたばかりだからだ。

 オープニングセレモニーには、長崎幸太郎知事も駆け付け、98歳となった信太郎氏がハーモニカを演奏するサプライズもあった。

 信太郎氏は1927年に同県甲府市に生まれ、60年に現サンリオを創業した。山梨県庁の職員から身を起こし、一代で世界的なエンターテインメント会社「サンリオ」を築いた信太郎氏はファンから「いちごの王さま」と呼ばれている。信太郎氏のいちごへの思い入れは強く、現在も「いちご新聞」を発行し続けている。

 また、信太郎氏はNHK連続テレビ小説「あんぱん」で、柳井嵩が所属した小倉連隊時代の上等兵・八木信之介のモデルといわれている。

 サンリオの誤算は、これだけではない。株式分割を契機に、株価が冴えないのだ。4月1日、サンリオは1株を5株にする株式分割を実施。投資家層の拡大を目的としたものだが、株価は低迷している。

「好業績なのに株価が上がらない。典型的な『業績と株価のギャップ』に悩む銘柄となっています。2025年8月には上場来高値の8685円(株式分割前)をつけましたが、それ以降はだらだらと下げ続け、今年1月には4500円(株式分割前)まで下落。2月の決算発表でいったんは持ち直したものの、その後も1000円台(分割後換算)での低空飛行が続いている」(市場関係者)という。

 株価が低迷する要因のひとつは、日中関係の悪化だ。中国政府が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけ、中国人観光客が大幅に減少するという悪材料も重なった。

「中国人観光客が減ればテーマパークの入場者数だけでなく、キャラクター商品の売り上げにも大きな影響を及ぼす。中国事業が売り上げ全体の2割弱を占めるサンリオにとって、日中関係の悪化は業績悪化要因。中国国内のライセンス事業や商品販売まで影響が及ぶとなれば、話は別次元になる」(同)という。

 サンリオは、10年後に時価総額を5兆円まで引き上げる計画を打ち出しているが、現状の時価総額は1.3兆円強。常務の不祥事はさらなる重荷となりかねない。

(森岡英樹/経済ジャーナリスト)