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太平洋戦争末期、広島から持ち帰られた原子爆弾の「残り火」が、福岡県八女市星野村で「平和の火」として受け継がれています。この「平和の火」が、太平洋戦争とゆかりのあるアメリカ・ハワイの真珠湾で、ともされることになりました。

23日、八女市役所を訪れたのは、佐々木雅弘さんとその家族です。

雅弘さんたちは「平和の火」を真珠湾でともす式典について、簑原市長に報告しました。

■佐々木雅弘さん(84)
平和の火が全世界にともっていきますように、ぜひ協力いただきたいと思っています。」

■八女市・簑原悠太朗 市長
平和を考えるための大きな節目に使っていただけること、我々としてもありがたく、名誉なことだと思っています。」

平和の火」は、八女市星野村の「平和の塔」で燃え続ける小さな炎です。

太平洋戦争末期の1945年8月6日、人類史上初めて広島に投下された原子爆弾の残り火です。

原子爆弾は瞬く間に多くの命を奪い、生き残った人たちを今なお、放射能の影響で苦しめています。

雅弘さんの妹・佐々木禎子さんは、2歳の時に広島で被爆し、その10年後、白血病で亡くなりました。

■雅弘さん
「小さいのよね。具合が悪くなって死ぬ頃に、こんな小さいのを折っていたからね。」

禎子さんが闘病中に折った鶴が残っています。

雅弘さんたちは折り鶴を通じて、平和を願うメッセージを世界に発信し続けてきました。

その活動の傍ら、5年以上前から「平和の火」を真珠湾にともす計画を進めてきました。

■雅弘さん
「例えば、私がアメリカでNo more Hiroshima、No more Nagasakiという言葉を出すと、Remember Pearl Harborと返ってきます。心の底から、お互いが未来に向かってしっかり手を取り合っていかなきゃいけないのではないか。」

1941年12月8日、日本軍は真珠湾のアメリカ軍に奇襲攻撃をかけ、アメリカ側は、およそ2400人が犠牲となりました。

このあと日本は、アメリカに宣戦を布告し、太平洋戦争に突入しました。

そして、4年後。アメリカ軍は8月6日に広島に、同じく9日に長崎に原子爆弾を投下しました。

そして、8月15日、日本は降伏し終戦を迎えます。

■雅弘さん
原爆を投下したのは正しかったというアメリカ側と、原爆を落とされて、未だに被害にあって苦しんでいる人がいるという、そういう現状の大きな違いが現実としてあるわけです。ここの溝は絶対に埋まらない。なぜ埋まらないかというと、お互いが主張するからです。でも主張というのは、絶対に平行線なんですよ。受け入れなきゃ。」

■雅弘さん
「あら、拓道さん。おひさしゅうございます。」

雅弘さんたちには、今回の式典の開催を伝えておきたい人がいました。星野村に住む山本拓道さん(75)です。

平和の火」は山本さんの父、達雄さんが広島から持ち帰りました。

■雅弘さんの長男・住幸さん
「こういう形で許可書をいただきまして。5月24日に。」

■山本拓道さん
「話を聞いた時、びっくりしましたね。」

当時、達雄さんは陸軍の部隊に所属していました。

原爆が投下されたあの日、広島にいた達雄さんは被爆しましたが、爆心地から離れた場所にいたため、一命を取りとめました。

生前、達雄さんは変わり果てた街で見た光景と、当時、やむにやまれずした自らの行いをカメラの前で証言しています。

■拓道さんの父・達雄さん
「助けてくれ、助けてくれという人を踏んで、自分だけ念仏を唱えて、こらえてくれと自分だけ逃げて。結局、人を殺した罪悪感は拭いきれない。」

広島の原爆投下では、達雄さんの叔父も犠牲となりました。

叔父が営んでいた書店の残骸でくすぶっている火を見つけ、達雄さんは“形見”として原爆の残り火を持ち帰りました。

■拓道さんの父・達雄さん
「何にも持って帰る叔父の遺品がないから、この火で叔父は死んだと。」

持ち帰った火は当初、達雄さんにとって原爆への「恨みの火」でもありましたが、その後は「供養の火」として使ってほしいと話していたといいます。

■拓道さん
平和のために、みんなが活動しているわけですから。その人たちの活動がスムーズにいけば、それが一番いいというのが私の思いです。」

雅弘さんは、現地時間の5月24日にハワイでの式典を予定しています。

原爆投下を決断したアメリカのトルーマン元大統領の孫にも、参加を呼びかけています。

■佐々木雅弘さん
「日米の心のふれあいをしっかりと確認し合い、憎しみ、遺恨の心、そういったものをお互いにそこでなくそうという大きな目的があるわけですから。拓道さんにお会いして、お父さんの気持ちも一緒に持って行きたいなと思って。」

憎しみの連鎖を断ち切り、戦争のない未来を考えるきっかけになってほしい。

唯一の被爆国から発信する平和への願いです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年4月23日午後5時すぎ放送