総合マーケティングビジネスの富士経済は、近年、スーパーマーケットなどの量販店が他店との差別化を図りやすい商材として注力度を高めており、市場が拡大している量販店インストアベーカリーをエリア別に調査した。その結果を「エリア別量販店インストアベーカリーの動向とトレンド調査」にまとめた。トピックスとして、各エリアで直営店を中心に市場が拡大。セントラルキッチンやサテライト店、冷凍生地など、均質化、人手不足解消に向けた動きも進行中であることがわかった。

この調査では、店内にベーカリーを併設し焼きたてパンを提供する量販店を対象とし、日本全国を北海道/東北、関東、中部、近畿、中国/四国、九州/沖縄の6エリアに区分して、エリアごとの量販店インストアベーカリーの最新動向をまとめた。

市場は2021年以降伸びが続いており、エリア別では、店舗数などに従って関東が46.7%と最も大きく、中部、近畿、北海道・東北がそれに続く。

かつては量販店への製パン企業などのテナント出店によって市場が拡大したが、近年は量販店が自社ブランドを展開でき、競合店との差別化が図れる直営での出店が盛んである。ベーカリーの運営においては、慢性的な人手不足や製造効率の低下、原材料費の高騰などが課題であり、自店で粉から生地を製造するスクラッチから冷凍生地や自社CK(セントラルキッチン)への製造移行、製造設備のある大型店から小型店(製造設備を持たないサテライト店)への商品移送の増加、付加価値メニューによる単価向上といった動きがみられる。

どのエリアでもこの傾向があるが、エリアによる違いもみられる。関東は、自社CKやチェーン向け仕様の留型の冷凍生地への移行が進んでおり、商品の均質化や人手不足解消へ向けた動きが活発である。一方で北海道・東北はスクラッチの比率が比較的高い。また、近畿や九州・沖縄は製パン企業のテナント出店も多い。


量販店インストアベーカリーの直営構成比(売上ベース)では、2019年が79.8%、2025年が86.0%だった。近年のトレンドとして「直営化」が挙げられる。市場はかつてテナント出店の急増で拡大したが、競合激化や不採算店の整理によって2010年代後半は苦戦した。そうした中で量販店は、差別化を図りやすく生鮮品より利益を確保しやすい直営ベーカリーへの転換や、製造設備を必要としないサテライト店の出店を増やしたことから、直営の構成比は上昇し続けている。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用[
調査期間]1月〜2月

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp