オイルショックで食料品や電気代など物価すべてが上がるのはなぜか
イランによるホルムズ海峡封鎖で、世界の原油の約3割が通過するルートが遮断されている。ガソリンやエネルギー価格への直撃に加え、物流やインフレへの影響が連日メディアのトップニュースになっている。そこでは「石油」「原油」「重油」「軽油」などの言葉が飛び交うが、ニュースを正しく理解するために整理する。
まず、「石油」は地下からくみ上げた「原油」と、それを精製した製品の総称だ。原油は未加工のドロドロした黒い液体で、すべての石油製品の“原料”である。原油を精製して石油製品をつくる工場を「製油所」といい、日本には製油所が現在20カ所ある。
原油の精製とは、黒いドロドロの液体を製油所で熱し、沸点の違いを利用して蒸留(熱して沸点の違いで分離)することで、ガソリン、灯油、軽油、重油、LPガス、ナフサなど用途に応じた石油製品を同時生成することだ。特定の製品だけを作ることはできない。
ガソリンは言うまでもなく、自動車用の燃料であり、軽油はディーゼル車やトラックの燃料である。両者の違いは引火点と発火点で、揮発性はガソリンの方が高く、サラサラしている。“軽”とついているのは、重油に比べると比重が軽いという意味である。
灯油はストーブやジェット燃料(航空タービン燃料)に使われ、重油は大型船の燃料や発電用で使われる。ジェット燃料は高度1万mの低温(約-50℃)でも凍らず、安定した燃焼をする特性を持つため、航空機に使われる。近年はCO2削減のため、食用油の廃油などから作られる「SAF」への転換が進められている。
LPガス(液化石油ガス)は、プロパンやブタンが主成分でライターやコンロの燃料に使われる。ナフサは主にプラスチックや衣料品(合成繊維)、合成ゴム、肥料などの原料になる。
今回のオイルショックで食料品の高騰が懸念されているのは、ハウス栽培の野菜ではビニールハウスの暖房に重油が使われているからであり、野菜を育てる化学肥料の原料はナフサだからだ。また、納豆の容器もそうだが、食料品の多くはナフサを原料としたプラスチック容器なので、当然、コストに影響する。
今回、電気料金の高騰が懸念されているのは、日本の電力の約7割を火力発電が占めているからだ。石油火力の割合は1割に満たないが、火力発電の燃料の多くはLNG(液化天然ガス)と石炭だ。
ロシアからLNGを輸入しづらくなったことをきっかけに、LNGの調達先の分散を進めてきた。約4割をオーストラリアに頼り、中東で最も多いのはカタールだが5%強に過ぎない。よって、LNGに関して日本の中東依存度は低いのだが、依存度の高い韓国や台湾が短期取引市場で買い増しに動けば、価格が一気に跳ね上がる。
LNGは-162℃まで冷却して液体化するため備蓄しにくく、日本で民間の在庫は約3週間分程度だ。世界的な価格高騰が長期化すれば、影響を免れない。よって日本の電気代も上がる。
