富裕層のお金を熟知する元国税専門官が指摘!「良い借金」と「悪い借金」の見極めをつけないと、あなたのお金は自然消滅する!
実は日本に150万世帯もいる「純金融資産1億円以上5億円未満」の大半は、普通に働く、ごく「普通の人」――1月に刊行した『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』(講談社+α新書)の売れ行きが発売1ヵ月で3刷と好調だ。「普通の人」が富裕層のように億単位の資産を築くための考え方とやり方を解説する一冊。著者の小林義崇さんは国税局で10年あまり相続税の調査に従事し、多額の相続税を払うほどの富裕層がどのようにお金を増やしたのか丹念に見てきた。具体的に本書からいくつかのトピックをご紹介しよう。
『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』連載第1回
お金を借りる際のカギとなる「信用」
通常、借金をすると、元本に加えて利息や手数料を支払う義務が生じます。つまり、借りたお金以上に返さなければならず、家計が苦しくなるのは自然なことです。借金の高い利息を払っているなら、NISAで積立投資をするどころではありません。消費者金融などの借金の金利は、投資の期待リターンである5%を大幅に上回るため、投資より先に借金の返済に取り組む必要があります。
借金の条件はさまざまですが、まず、「返済能力が高い人には有利な条件、低い人には不利な条件」が提示される鉄則を理解しましょう。
たとえば、社会的信用度が高く、担保を提供できる富裕層は、銀行から非常に低い金利でお金を借りられます。住宅ローンが低金利なのも、購入する不動産が担保になることに加え、借り手の年収や勤務先、過去の信用情報などを厳しく審査しており、「この人ならきちんと返してくれる」という信用があるからです。
一方で、誰でも気軽に利用できるキャッシングやクレジットカードのリボ払いはどうでしょうか。これらは審査が比較的緩い分、年15%以上の高金利がかかることも珍しくありません。利息制限法で上限金利は定められているものの、借りる元本に応じて年15から20%までの金利が認められているのです。
この年15%以上という数字は、家計を破綻させるには十分すぎるほどの高金利です。これを理解するために、金利の違いがどれほどの大きな影響をもたらすのか、300万円を5年間借りたケースで比較してみましょう。
【A】不動産ローン(年利1.65%)の場合
・月々の返済額:約5万2000円
・総返済額:約312万円
・支払う利息:約12万円
【B】消費者金融(年利18%)の場合
・月々の返済額:約7万6000円
・総返済額:約457万円
・支払う利息:約157万円
「良い借金」と「悪い借金」
このうち【A】の不動産ローンは、将来資産となる不動産を手に入れ、家賃収入という「お金が増える仕組み」を作るための、いわば「良い借金」です。支払う利息(約12万円)以上の収益を生み出せれば、月々のキャッシュフローはプラスになり、将来的には売却収入も期待できます。
しかし、【B】のように消費者金融で借りた場合、元本の半分以上もの利息(約157万円)を支払うことになります。しかも、これは「消費」のための借金ですから、返済はすべて自分の給料や貯蓄から行うしかありません。金利負担がのしかかり、生活がどんどん苦しくなっていきます。
もし、この状態で病気やケガ、失業などで収入が途絶えたら、状況は坂道を転がり落ちるように悪化します。期日までに返済できなければ多額の遅延損害金が発生し、督促は日に日に厳しくなります。返済の遅延が続けば、個人信用情報機関に延滞の情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまいます。こうなると、クレジットカードの作成や更新、新たなローン審査に通ることは絶望的です。
最終的には裁判所を通じて財産や給料などが差し押さえられ、自己破産に至ることもあり得ます。そして、自己破産をしても税金や社会保険料の支払い義務は消えないため、逃げ場のない状況に追い込まれてしまいます。
このように、同じ借金でも、「良い借金」と「悪い借金」があることを認識してください。その違いを見極める基準はシンプルで、「未来の自分にどう影響するか」を考えることです。未来の自分を豊かにするのが、資産形成につながる「良い借金」。未来の自分を苦しめるのが、目先の消費のために高金利で借りる「悪い借金」です。
借金とは、いわば「未来の自分からの前借り」です。借りた金で今は楽しめるとしても、将来の自分が後悔すると思うなら、最初から借金をしないのが正しい選択といえます。
