この記事をまとめると

ガソリン暫定税率廃止とEV補助金増額の税制動向を解説

■EV補助金は130万円に増額される一方でFCVは大幅減額となった

■適正なバッテリー容量と充電インフラ整備がEVの合理的な普及策となるだろう

いまだ手厚いBEV補助金

 揮発油(ガソリン)税に、1974年から1951年にわたって追加課税されてきた暫定税率が、昨2025年末で廃止になった。市中のガソリンスタンドでのレギュラーガソリン価格は、全国平均で146.4円(2026年1月30日時点)に落ち着きだしている。170円を超えるような状況があったことからすれば、ずいぶん安くなったとの印象をもつ人は多いかもしれない。

 そのうえで、電動車普及のための補助金が手厚くなっている。従来の電気自動車のCEV補助金上限額は90万円だったが、130万円に増額された。プラグインハイブリッド車も60万円から85万円へ増額となった。軽自動車のEVは、かつて55万円であったのが58万円へ増額されているものの、すでに昨年から実施されてきたことなので2026年の補助金額としては横ばいになる。

 一方で、大幅な減額となったのが燃料電池車だ。255万円から150万円である。ほとんど販売台数を見込めなかったFCVへテコ入れをしようとした目論見がはずれたための、ほぼ順当な額への修正といっていい。こうした補助金情勢から、ガソリン価格は暫定税率の廃止で下がりはしたが、逆にいまEVの買いどきにもなっている。

 気がかりなのは、2年後の2028年5月以降に予定されるEVとPHEVを対象とした重量税への特例加算であろう。ことにEVは数百kgとされるリチウムイオンバッテリーを車載するため、それによって道路の劣化への影響が大きいとの考えに基づく措置だ。

 政府の試算によれば、ガソリン車との比較で重量20%増となるEVの場合、道路への負担は2倍を超えるという。車両重量が30%増の場合だと3倍近くになるとのことだ。つまり、これまで大型トラックなど重量の大きな車両に課せられてきたようなより重い負担の重量税をEVやPHEVにも課そうとする案である。どれほどの増税額になるかは未定だ。

 現状の連立与党の在り方から見直しや先送りの可能性もあり、決定事項にはなっていない。日本は9年後の2035年以降、電動車のみの販売方針を決定している。エンジンだけの新車は売れなくなる。そうした方針がありながら、電動車の普及に水を差していいのかとの意見も出ている。

EVのあり方を見直すタームに来ている

 とはいえ行政側からすれば、揮発油税の暫定税率が廃止となったあとの財源確保への動きはなにかあるはずだ。政府や行政は、単に意義や合理性のために増税や減税を実施していない。税収と支出の収支で税制を考えるからだ。

 ところで、重量税の特例加算をEVの車載バッテリー容量の合理性を考えるきっかけとしてはどうだろう。あたかもディーゼル車と同じように一充電で1000km近く走れる必要があるのかどうか、精査すべきときに来ていると思う。

 一充電走行距離にこだわることでEVの重量が増して重量税の負担増の案が出るのは、いわば当然の成り行きである。適正なバッテリー容量による合理的な一充電走行距離を消費者が納得すれば、多少の重量税の増額は起きても極端な負担増とはなりにくいのではないか。

 これを実現するには、基礎充電と呼ばれる自宅や勤務先での普通充電の設置が集合住宅や月極駐車場でも自由にできることが前提だ。次に、出先などでの目的地充電が完備することも不可欠だ。目的地充電が必要となるのは、宿泊施設に限らずレストランやショッピングモールなど、比較的長い時間滞在する可能性のある施設だ。行楽地もそのひとつになる。

 これが完備されれば、まさに「なにかしている間に充電する」というEV本来の使い方ができるようになる。電欠や充電待ちの不安なくEVを使えるようになり、無駄なバッテリー容量を求めなくなり重くなりすぎないEVが増えることを促す。

 EV普及に際し、補助金はいまのところ2028年4月までは続きそうだが、その先は未定だ。では補助金がなくなったらどうするのか?

 その答えは、中国製EVがもたらしてくれるかもしれない。世界的に価格破壊的な中国製EVが販売されている。日本を含めた世界の自動車メーカーの価格基準は中国製EVに準じていくようになるだろう。

 あるいは、借りて使うという「シェアリング」で満足する人がもっと増えるかもしれない。さらに、多少価格が高くても気に入ったEVなら、OTA(オーバー・ザ・エア)で装備を刷新できれば10年以上保有し続けることが当たり前になるかもしれない。そうなれば、若干の価格差は長く使い続けることで相殺されるのではないか。

 これまでのように頻繁に買い替えをする新車購入ではなく、長く使う、借りて使う、そういう時代が訪れるかもしれない。大事に長く使うことも、環境適合のひとつだ。