総合型選抜で変わる大学入試──暗記不要・学歴不問の時代を元教師が解説

元教師でYouTuberのすぎやま氏は、自身のチャンネルで公開した動画の中で、『大学入試制度の完全崩壊』という衝撃的なテーマについて熱弁を振るった。すぎやま氏は冒頭から「もう受験勉強を頑張らなくていいです」「昭和の大学受験制度は完全に崩壊しました」と断言し、従来の受験戦争の常識がもはや通用しない現実を突きつけている。

すぎやま氏は、多くの高校生やその親世代に対し、「大学入試の制度がこの数年で激変しているのって知ってますか？ めちゃくちゃ大きく変わってるんですよ」と問いかける。そして、「親世代はもちろん知らない人が多いんですよ。だから昭和の価値観のまま『受験勉強頑張れ、暗記頑張れ』って言うんですけど、もう制度自体が変わっちゃってるんで、昭和式の頑張れ頑張れっていう勉強法も意味なかったりするんですよ」と指摘し、時代遅れの価値観が子どもたちの将来を縛る危険性を訴えている。

まずすぎやま氏が強調するのは、「もう世の中自体が変わっている」という大前提だ。その一つとして「企業が学歴を求めていない新時代」になっている点を挙げる。親世代にはいまだに「結局学歴が大事でしょ？」という考えが根強いかもしれないが、すぎやま氏は「履歴書のフォームに学歴を書く欄がない企業もある」とし、「そういう場合どうやって学歴を判断するんですか？ ねっ？ 無理ですよね？」とバッサリ。実際に、2024年の調査では主要400社のうち78％が「学歴不問」を表明しており、特にIT業界や技術職では「完全に実力主義が徹底されていて、採用の時に学歴を問わないようにしようというのが主流」だと解説する。

この変化に対し、すぎやま氏は「この流れは絶対に変わりません。断言しますよ。絶対に変わりません」と力強く語り、「（親世代が言う）『いやいやそうは言っても学歴が』はもう通用しなくなってるんです。通用させようがないんですよ」と畳みかけた。

社会だけでなく、教育現場そのものも大きく変わっている。すぎやま氏は「実はもう20年前から小中学校では暗記中心教育は終わっているんです」と明かす。自身が教員になった頃から「脱・暗記教育」が叫ばれ、文部科学省も「主体的・対話的で深い学び」を重視していると説明。もし学校の先生がいまだに暗記ばかりさせているとしたら、それは「教育全体の流れじゃなくて、その人が古い」と手厳しい。

さらに大学教育も変化しており、「東京大学とか早稲田大学とか主要26大学が2025年までに暗記型カリキュラムを廃止すると宣言している」という衝撃の事実を提示。「昔は東大・早稲田といえば、カリカリ暗記が得意で偏差値の高い生徒が入る大学っていうイメージだったと思うんですけど、そういう大学が『暗記だけ得意な生徒はいらない』『偏差値高い生徒はいらない、いらない、いらない』って大学側が言ってるんですよ」と、大学側が求める人材像が変化した背景を語る。

その理由は「そういう人ばかり入学させた結果、大学の中で研究できる人材がいなくなっちゃったんですね」とのこと。「『研究』というと『どこからどういうふうに調べればいいか、マニュアルください』みたいな人ばっかりになっちゃった」ため、大学側は「そんな人間いらない。暗記型の人間いらないからって言ってるんですね」と、大学側の本音を代弁した。

このような社会や教育現場の変化を受け、「大学入試制度が変わった」とすぎやま氏は続ける。その最大のものが「2021年から始まった総合型選抜（旧AO入試）」だ。これはペーパーテストだけでなく、「将来の夢」や「大学でどんな研究をしたいか」、「高校時代の活動実績」などを総合的に評価するもので、「面接やプレゼン、小論文で評価をする」という。驚くべきことに「高校時代の学力の成績すらも不問なところもある」という。実際、2024年には「私立大学受験の38％が総合型選抜に変わっている」とし、早稲田や慶應といった有名私大でも「6割は総合型選抜と推薦入試にする」と表明する大学もあるという。これにより、従来の一般入試の枠は縮小し、「3割以下のちょっとの枠をめぐってものすごい人数がこれから争っていくことになるんですね」と、今後の受験戦線の変化を予測する。

これらの現状を踏まえ、すぎやま氏は「昭和型の大学受験制度はもう完全に崩壊している。オワコンになっている」と改めて断言。そして、「だから親世代も教育観とか教育の情報をどんどんアップデートしていかないといけない」と強く訴える。古い価値観のまま「そうは言っても学歴だ」と子どもに無理な勉強を強いることは、「めちゃくちゃ狭い枠で争う、そこの戦場に子どもを送ることになるわけですよ」と警鐘を鳴らし、「結局一番不利益をこうむるのは誰ですか？ 子どもですよね」と、親の意識改革の重要性を説いた。