デロリアンを共同所有できてしまうかも、という話【新米編集長コラム#17】
どのクルマを買うかという話は、鉄板のひとつ
クルマ好きにとって、楽しい瞬間は数多くあると思うが、そのうちのひとつとして『どのクルマを買うか』という話は、鉄板のひとつであろう。
【画像】共同所有できるかもしれないDMCデロリアン 全28枚
「今度○○○が納車されるんだよ!」、「実は○○○を買おうか迷っていまして」、「予算気にせず今買うとしたら何がいい?」などなど、切り出したら最後、そこから趣味車トークが止まらなくなること必至だ。ファミレスで始めようものなら、ドリンクバーを使いすぎてお店の方に嫌がられるかもしれないし、場合によっては夕飯に続きモーニングも注文するかもしれない。

今回は『ランデヴー』が提供するクルマの共同所有サービスがテーマ。 山本佳吾
新車、中古車、クラシックカー、スーパーカー……。今、各カテゴリーでどれを買いたいかと書き始めたら、それだけで本稿が終わってしまうので割愛するが、ひとつだけ書いておきたいのは先日亡くなられた自動車画家、Bowさんの話。カー・マガジンの表紙など、毎回打ち合わせ場所となっていた永福町のロイホでは決まって、「今何を買いたいか」という話になった。
例えば「今ボクね、フェラーリの400が欲しくてさ……」とBowさんが切り出せば、カー・マガジンで育った元読者&現編集者(当時)としては、目を輝かせて聞くしかあるまい。逆にBowさんから聞き返されてそこで何を語るかは、なんだかカー・マガジン編集部員として相応しいかをテストされているような気分で、毎回、ちょっと緊張したのを今でもよく覚えている。
ちなみに『Bow。さん』じゃないの? と思った方へ、私がカー・マガジン編集部に在籍した当時、名前だけ掲載する場合は『Bow。』、敬称をつける場合には『Bowさん』としていたのを、蛇足的に記しておくことにする。
スーパーカーを所有するのは夢のひとつではあるものの
閑話休題。今回は『ランデヴー(RENDEZ-VOUS)』が提供している、クルマを共同所有するサービスがテーマだ。同社のサービスは既に様々なメディアで紹介されているが、今回とある方からきっかけを頂いたところ、現在『DMCデロリアン』(!)がラインナップにあり、俄然興味が沸き取材に伺った次第だ。
スーパーカーを所有するのは夢のひとつではあるものの、近年価格が上昇し、ますます遠い存在となってしまった。仮に手に入れたとしても、保管、維持し続けるのは、ハードルが高い。

1981年式DMCデロリアン。『ランデヴー』で共同所有枠を販売中。 山本佳吾
その点ランデヴーの共同所有サービスであれば、例えばこの1981年式デロリアンなら、頭金15万円を支払えば月々6万8990円で所有できてしまうのだ(1年分一括なら総額90万2680円、頭金なしなら月々8万2740円)。これは給油の実費以外、保険、維持費などが全て含まれた金額で、契約期間は1年、共同所有人数は4人まで、利用日数は72日となる。
車両は神奈川県横浜市にあるガレージにあり、指紋認証+暗証番号で入れるので24時間365日出入りが可能。使用日(1日単位)は共同所有オーナー間で共有するアプリ上で管理し、ガレージまで乗っていったクルマを代わりに置いていくことも可能だ。ちなみにガレージの2階はラウンジになっていて、そこでオーナー同士の交流を深めることもできる
「人生をかけてこのサービスを作った」
当日はCEOの浅岡亮太さんにお話を伺うことができた。浅岡さんはDeNA在籍時代にカーシェアリングサービス『Anyca』を立ち上げた方で、その後、メルカリでは自動車プロジェクト責任者として活躍。2022年5月にランデヴーを創業した。ちなみにちょっと古いフランス車やイタリア車を扱うスペシャルショップ『アウトレーヴ』代表、浅岡紀子さんの息子さん……と書いたほうが、響く方はいらっしゃるかもしれない(筆者も驚いた)。
浅岡さんは「人生をかけてこのサービスを作った」と力強く語っている。実家のバックグラウンドがあり物心ついた時からクルマ好き(特にクラシックカー)であったが、全てを知っているからこそ、趣味車を所有するハードルの高さもよく理解していた。そこでハードルを下げるべく様々なトライを行ってきて、集大成としてこのランデヴーのシステムにたどり着いたわけだ。

「人生をかけてこのサービスを作った」とランデヴーCEOの浅岡亮太さん。 山本佳吾
オーナー像を浅岡さんに聞いたところ、60歳前後で昔からクルマ好きの方が退職後の楽しみとして所有する、あるいは30歳前後であくまで家族優先ながらセカンドカーとして所有する、この2パターンが多いという。他にも大学生が初めて所有するクルマとしてケータハム・スーパーセブンを選んだパターンもあり、「ひとりひとりにドラマがあるんです」と浅岡さんは感慨深そうに話す。
大変なのはやはりクルマの維持管理で、そこには力を入れているそう。クラシックカーに365日機嫌よく乗ることがいかに難しいかは、容易に想像できるだろう。なおクルマを販売して終わりではなく、「長いこと楽しんで頂きたい」とイベントも仕掛けており、イギリスやアメリカにあるクルマを軸としたクラブをイメージされているようだ。途中で気になって、商売としてどうなのか(平たく書けば儲かるかどうか)を聞いてしまったが、通常形態のショップよりも利益率は高いとの答えが返ってきた。
400車種ものバックオーダーを抱える
こうしてお話を伺っていると、なるほど、これはデロリアン所有も夢ではないのか……と、じわじわとクルマの見え方が変わってくる。事実、今やガレージのスペースはいっぱいとなりウエイティングが入るほどで、何と400車種ものバックオーダーを抱えている。
肝心のデロリアンは走行距離約8000km、アメリカ未登録、日本でも1オーナーという奇跡の個体。この日は残念ながら試乗することはできなかったが、正直、見られただけでも眼福であった。本稿執筆時点ではあと2枠あるとHPに書いてあるので、気になる方は早めに問い合わせしたほうがよさそう。

取材後、ご厚意で1984年式メルセデス・ベンツ500SLに試乗できた。こちらも2枠を販売中。 山本佳吾
どうやら今後は深夜のファミレスで、「共同所有という手もあるんだよ」と選択肢を増やさねばならなそうだ。
