一大ブームに沸いた中国ヒップホップはいま。若手ラッパーや関係者たちの声を聞く
それから4年、中国のヒップホップはいまどうなっているのだろうか? 88risingによって世界に紹介された成都発のヒップホップグループ「HIGHER BROTHERS」のアメリカでの成功も記憶に新しい。若者だけのMCバトル番組や、女性ラッパーにフォーカスした番組なども生まれ、新たな才能が発掘されているという。アイドルグループにもラップ担当がいるのが当たり前になった。
以前から中国ヒップヒップの動向を追っているライター・小山ひとみが、立場の異なるシーンのプレイヤーたちの声を通して、「中国ヒップホップのいま」を探る。
■中学生向け教材にラッパーの楽曲が掲載。中国で「大衆化」したヒップホップ
ここ1年くらいだろうか、中国のリアリティー番組を見ていてある変化に気がついた。ラッパーの出演が一気に増えたのだ。
リアリティー番組といえば、これまではアイドルや俳優が出演者の大半を占めていたが、出産を控えた夫婦の日常を追った番組や、芸能人が新たにグループデビューを目指すオーディション番組などのレギュラー出演者にラッパーが加わった。
また、中国版『紅白歌合戦』と言われる『中央广播电视总台春节联欢晚会』に、昨年初めて中国人ラッパーが出演。同じく昨年、上海の出版社が発行した中学生向けの教材に、中国では初めてラッパーの楽曲が掲載されたこともニュースになった。これらのことからも、中国でヒップホップはすでに大衆化したと言える。
その大衆化の元となるのは、遡ること4年前の通称「ヒップホップ元年」から始まるブームだ。2017年、ブームの火付け役であるオンラインのMCバトル番組『中国有嘻哈(The Rap of China)』が放送されると、半年で25億回の再生回数を達成したという報道もあるほど、中国全土がヒップホップに沸いた。翌年には、中国語タイトルを「中国の新しいラップ」を意味する『中国新说唱』に変え(英語タイトルは変わらず)、シーズン1以上に「チャイニーズ・ラップ」を積極的に世界に発信していこうとする姿勢を見せた。
