9月19日に発表された「HUAWEI Mate 30 Pro」の性能&ギミックを検証

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 9月19日に発表されたファーウェイのAndroidスマートフォン「HUAWEI Mate 30 Pro(以下、Mate 30 Pro)」。Mateシリーズといえば、そのスペックの高さに驚かされるのが恒例だが、今回の新モデルは少し印象が違った。スペックの進化はもちろんある。ただ、それ以上にその性能を生かした使い方の提案や細かい操作への配慮が目を引いた。端末に実際に触れながら、その使い心地を検証してみた。

●音量操作はセンサーで 物理ボタン廃止のメリット



 まずは、本体の基本データからおさらいしておきたい。画面サイズは6.53型(2400×1176ドット)で、アスペクト比は18.4:9。昨今の縦長トレンドを採用している。HUAWEI Horizon Displayと呼ばれる有機ELディスプレイは、ぐるりとサイドまで広がっているのが特徴。似たようなフルビューディスプレイを搭載するスマホは他社にもあるが、Mate 30 Proはエッジがほぼ垂直で画面の没入感は非常に高い。

 本体背面には新たにリング状のカメラ機構を採用。鏡面のメタルボディが美しさを際立たせている。円の中には四つのレンズを配置。4000万画素/F1.8の超広角レンズ、4000万画素/F1.6の広角レンズ、800万画素/F2.4/3倍ズームレンズ、ToFセンサーで構成されている。

 設計で目新しいのが、ボリュームコントロールの物理ボタンを取り除いた点だ。側面は左右で電源ボタンしか存在しない。では、ボリュームはどうやって操作するかというと、本来ボタンがある場所に搭載されたタッチセンサーを活用する。2度タップするとコントロールバーが立ち上がり、指をスライドして操作できるようになる。

 この新機構のメリットは、デザインがスマートになるというだけではない。実はこのセンサーは逆サイドにも備わっており、左右どちらでも音量をコントロールすることができるのだ。実際に使ってみると、これが予想以上に便利。片側にあるのが当たり前だったので意識したことはなかったが、どちらの手でスマホを操作していてもスムーズに音量操作が行える。特に左利きの人は各段に操作の質が向上するはずだ。

●広角から高倍率まで隙が無い ナイトモードは広角でも威力を発揮



 続いて、ファーウェイスマホの最大の売りといえるカメラを試してみた。Mate 30 Proのズームはデジタルで最大30倍。春に同社が発表した(日本では9月13日にNTTドコモが発売)「HUAWEI P30 Pro(以下、P30 Pro)」の最大50倍には及ばないが、それでも十分すぎる高倍率だ。P30 Proでは2000万画素だった超広角レンズの画素数は4000万に倍増しており、広角ではより高精細な写真を撮影することができる。

 試しに発表会が開催されたドイツ・ミュンヘンのマリエン広場で、時計台を向かいの塔の屋上から撮影してみた。1倍では時計台のある建物がギリギリ収まる画角だが、広角にすると広場全体がフレーム内に収まる。広角特有の歪みもなく、見たまま(色合いはよりビビット)の写真を撮影することができた。

 同じ場所から30倍まで倍率を上げて、時計にズームした写真を撮影してみた。手持ちだったので、ぶれが気になったのだが、撮影した写真を見てみるとぶれはほとんど気にならない。むしろ肉眼では捉えられなかった意匠までくっきりと描き出していることが分かる。

 ISOは40万9600で、こちらはP30 Proと同等。暗所における撮影でP30 Pro&Mate 30 Proの右に出るモデルは現時点では思いつかない。たとえ暗闇であってもノイズの少ない鮮明な写真を記録することが可能だ。試しにミュンヘンで最も高いオリンピアタワーの展望フロア(189m)から夜景をナイトモードで撮影してみた。

 特筆したいのは広角カメラで非常に明るい撮影ができるようになったことだ。闇夜の暗さに街がのまれることなく、それでいて街灯が主張しすぎることもなく、非常にバランスがとれているのが印象的だった。よく観察すると街灯の色合いや風合いの違いもよく表現されている。

●最大の魅力は変幻自在の“動画性能” プロ機材並みの実力



 静止画以上にMate 30 Proの特性がよく表れるのが動画だ。発表会で示されたスペックで最も驚かされた部分でもある。4K/60fpsの動画撮影に対応、ISOは最大5万1200、最大7680fpsのスローモーション撮影、4K HDR+によるタイムラプス撮影など、これまでのスマホ動画の基準を大きく更新。特にシネカメラを採用した広角カメラのクオリティは、プロ機材と比較しても遜色ないレベルになっている。

 動画を撮るだけでも、クオリティの高さは一目瞭然だ。先ほども紹介したマリエン広場の時計台を作例にあげる。ここでは特定の時刻に時計盤下のからくり人形が動く仕掛けがあるので、それを10倍ズーム(動画撮影の最大値)で撮影してみた。動画は静止画以上に手ぶれにシビアだ。手持ち&10倍だったので、正直見ているだけで酔いそうになるぶれぶれの映像を覚悟していた。

 しかし、動画を確認するとわずかな揺れはあるものの、ぶれは撮影していたときの予想をはるかに下回った。解像度も高く、からくり人形の細部までしっかりと認識できる。これは二つのレンズに搭載された光学式手ぶれ補正の恩恵だ。倍率が最大でも十分に使える動画を撮影できることが確認できた。

 続いて試したのは、最大7680fpsという完全にスマホレベルを超えたスローモーション。ミュンヘン市街にあるカールス門の噴水で作例を撮影した。フォーカスしたのは噴水の水の吹き出し口だ。通常のスローであればただ水がゆっくりと吹き出しているように見えるだけだが、7680fpsまでいくと、広がっていくときの水滴同士のぶつかりまでつぶさに捉えた。

 長時間撮影した映像を早送りする「タイムラプス撮影」のスペックも極めて高い。4K HDR+に対応し、星空や夜景の推移など暗所でも満足のいく映像を記録できる。タイムラプスの被写体は何気ないものでも構わない。歩道橋の上から数分間、道路を走る自動車を撮影してみたが、それだけでも十分に楽しめた。コマがぬるぬると滑らかに動くので、何気なくてもアーティスティックにみえるのだ。

●個人的なイチオシ! ポジション自在のセルフィ―シャッター



 最後に紹介しておきたいのが、ちょっとした(でも画期的な)ギミックだ。セルフィ―限定で使えるのだが、シャッターの位置を指でスライドして任意の位置に設定することができる。本来のシャッターである音量ボタンがなくなったことによる代替案かと思いきや、使ってみるとすさまじく実用的。記者は手が小さく縦長のスマホだと片手で端末を持ちながらシャッターを切るのが難しい。しかし、Mate 30 Proはシャッター位置を下げることで、従来のスマホで撮影することができなかった体勢でもセルフィ―することができた。

 ハイスペックは活用シーンがなかったり利用が難しかったり、持ち腐れになることも多々あるが、Mate 30 Proのさまざまな撮影モードは設定がシンプルで誰でも苦労せずに試すことができる。記者は普段から動画を頻繁に撮影するほうではないが、Mate 30 Proはテクニックも不要で、さまざまな被写体に思わずカメラを向けてしまった。現時点では日本での販売の予定は発表されていないが、昨今高まりつつある動画投稿のニーズから注目を浴びることは間違いない。(BCN・大蔵 大輔)