米中ウオッチャーが読む対立の深層、トランプに二つの先入観
“異物”混入、解決さらに困難
8月1日、トランプ米大統領が「関税引き上げ第4弾」(残る3000億ドル分の中国輸入品への課税)、さらに5日には中国を「為替操作国」に指定したことで、米中経済戦争はさらに深刻化した。
しかし、中国にすれば「約束未履行はお互いさま」だ。米国も中国の通信機メーカー・ファーウェイに対して下した制裁(半導体など米国製品の同社向け輸出の事実上禁止)を解除する約束を実行していないからだ。
加えて、今回の関税第4弾の発表で「今後は関税を引き上げない」というもう一つの約束も破られたとして、中国は農産物購入停止などの対抗措置を発表した。
その後人民元の為替レートが抵抗線だった「1ドル=6元台」を割り込み、政府が値決めを誘導するために毎日発表する「中間値」も7元台に幅寄せされたのを見るや、トランプ政権は「元安誘導している」として、為替操作国の認定をした。
これも疑問だ。今は外為市場が元安に傾きやすいので、政府は逆に元安を防ごうとしている。中国マネーが過剰投資で利回りの落ちた国内よりも、海外の投資先に惹かれて外に出たがっている。
資金の海外流出を自由に認めると、元安が急激に進んで世界中の新興国通貨安を誘発する、あるいは海外に資産を移そうとする富裕層が国内で不動産を換金売りして、不動産バブル崩壊の引き金を引く恐れがある。政府がそんな危険を冒してまで、元安を誘導するとは考えにくい。
特に中国企業や富裕層が「今後は元安が一方的に進む」と信じれば、カネを海外に持ち出す動きがさらに刺激される。「元安誘導」説が広まるのは決して得策ではないのだ。
米財務省の為替操作国の認定発表には「大統領の指示により」という文言があり、“しぶしぶ”感も漂う。どうやらトランプ米大統領は中国との駆け引きだけでなく、米連邦準備制度理事会(FRB)にさらなる利下げを迫る狙いも込めたようだ。
