8月16日に行なわれたアジア大会の第2戦で、U−21日本代表はパキスタンに4対0で勝利した。「快勝」という表現を使わないのは、攻撃の勢いが持続しなかったからである。

 試合の入りは申し分なかった。開始10分で3点を奪い、35分には4点までリードを広げた。ネパールとの第1戦ではほとんど使わなかったシンプルなタテパスを、効果的に生かすことができていた。

 勝負は前半で決した。ここから先も連戦が続く。無理をするゲームではなかったが、後半の戦いぶりは評価できない。

 仕掛けが極端に減った。相手の守備ブロックの外側でボールを動かすばかりでは、脅威を与えることはできない。ブロックのなかへ飛び込んでいくことで、一人ひとりの選手が持っている技術も生かされていく。後半の日本に、怖さはなかった。

 自分たちのミスから危ない場面も招いた。GK小島亨介が負傷退場したのも、バックパスのミスをカバーした代償だった。

 同日行われたグループ内のもう1試合で、ベトナムがネパールを3対0で下した。連勝の日本とベトナムがグループステージ突破を決め、19日の第3戦で首位通過を争うことになった。

 ここまでは得失点差も総得点も同じなので、勝者が首位となる。ロシアW杯の日本は、フェアプレーポイントでセネガルを上回った。アジア大会でもファアプレーポイントが順位決定方法に含まれているが、それより上位の方法としてPK戦がある。当該チームが同じ試合会場にいる場合との条件つきだが、日本対ベトナムは直接対決だ。場合によってはPK戦までもつれるかもしれない。

 ベトナムは今年1月のAFCU−23選手権で準優勝した。同大会の準々決勝と準決勝はPK戦で、ベトナムが90分以内で勝利をつかんだのはグループリーグの1試合だけしかない。とはいえ、日本が準々決勝で0対4の大敗を喫したウズベキスタンと、決勝で1対2のクロスゲームを演じている。侮ることはできない。

 ベトナム戦の結果次第で、決勝トーナメントの対戦相手は大きく変わってくる。首位通過なら成績上位の3位国との対戦だが、2位になるとグループEの首位と戦うことになる。韓国との激突が濃厚だ。

 どちらも勝ち上がっていけば、どこかで対戦する。ただ、1月のAFCU−23選手権以来の公式戦となるアジア大会は、できるだけ多くのゲームを消化することに狙いが置かれている。短期決戦の連戦でメダル争いに絡むことが、東京五輪のシミュレーションになるからだ。

 19日のベトナム戦は、勝利が絶対条件だ。