代表でゴールが生まれぬ柿谷曜一朗…求められるのは“周囲の理解”と合わせる時間
コンフェデ杯で3連敗し、漂った閉塞感を打ち破る存在としてピックアップされた柿谷は、7月の東アジアカップで2試合3得点という鮮烈なデビューを飾り、その期待に相応しい男であることを証明する。8月のウルグアイ戦で主力組の1トップとして先発すると、その後はそのポジションに立ち続け、ザックジャパンが不調にあえぐのと比例するように、かけられる期待は日に日に熱を帯びている。しかし東アジアカップ以降、柿谷からゴールは生まれていない。
10月の欧州遠征でもゴールを決められず、「勝てないのは僕が点を取れないのが原因。2試合連続で0点やったんで。それだけだと思います」と一人責任を背負い込んだ柿谷だが、その要因の一つとして、セレッソ大阪でチームメートでもある山口螢は「曜一朗君はボランチがボールを持った時、常に裏に飛び出していた。それを誰も見ていないのか、見ていても出していないのかは分からないけど、そこが曜一朗君の一番の持ち味なのに生かせていない」とも語っている。
また、ザッケローニ監督もメンバー発表の席上で「柿谷に関しては日本人的ではない部分がある。日本にはポゼッションであったり、パスをつなぐことであったりと、コンビネーションで相手ゴールに迫っていくというサッカー文化があり、それはJリーグなどでもよく見られる。しかし彼の場合、一発で裏に抜けることを好み、抜けるタイミングというものを持っているので、チームメートも彼の特徴を生かしていくような時間が必要だ。また柿谷は裏に抜けるだけでなく、下りてきてコンビネーションを生かすこともできるが、そうした彼の特徴というものを周囲も理解する必要がある」と話したように、柿谷の良さを生かしきれていない現状を認めながら、時間が必要だとの認識を示した。
一方、当の柿谷本人は、ベルギーでの初練習後、「誰かの良さを出すためのチームじゃないと思うので、チームが強くなればいいと思っています。だいぶ時間もというか、一緒にやってきているので、お互いに分かっていかないといけないっていうのはありますけど、大事なのは練習より試合でどれだけ合わせられるかだと思っています」と語り、どちらが合わせるかという議論さえも意に介していない様子だ。
まずチームを第一に考える柿谷の献身的な姿勢と、元来彼が持つ天才的な動きを生かそうとする周囲の理解。その2つが相まった時にどんな化学反応が起きるのか。閉塞感の漂う現在のザックジャパンにおいて、唯一にして最大の伸びしろと言ってもいいそのコンビネーションに注目したい。

