大学進学で「奨学金240万円」借りたわが子。返済は“月1万円”でも、利率変動で「総額270万円超」になると聞き不安です。本当に返済できるのでしょうか? 利率の影響を確認

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大学進学のために奨学金を利用する家庭は多いでしょう。例えば240万円を借りた場合、「月1万円台の返済だから負担は小さい」と考える人もいます。 しかし、奨学金には返済期間や利率があり、条件によっては総返済額が大きく変わることがあります。特に有利子の奨学金では、利率の違いによって数十万円単位で負担が増えるケースも少なくありません。 本記事では、240万円の奨学金を借りた場合の返済額の目安や利率による違い、将来の家計への影響について、具体的な数字を基に整理します。

奨学金240万円を借りた場合、卒業後の返済はどうなる?

奨学金の返済は卒業後すぐに始まるわけではなく、一般的には一定の据え置き期間を経て返済がスタートします。ここでは、240万円を借りた場合の基本的な返済イメージを確認しましょう。
 

月1万円台の返済になる理由

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金では、返済期間は貸与総額によって設定されます。
240万円程度の場合、返済期間は15年前後のケースが多く、月々の返済額は1万円台になることが一般的です。例えば、単純に240万円を15年間で返済すると、以下のような計算になります。
240万円÷180ヶ月(15年)=約1万3333円
このように、長い期間で分割して返済する仕組みのため、毎月の負担は比較的少額に見えるのが特徴です。ただし、返済期間が長いということは、その分利息の影響を受けやすいという側面もあります。
 

利率0%と有利子ではどれくらい総返済額が違う?

奨学金には大きく分けて「無利子」と、「有利子」の2種類があります。ここでは、利率の違いによって返済額がどの程度変わるのかをシミュレーションしてみましょう。
 

無利子奨学金(第一種)の場合

無利子の奨学金では、基本的に借りた金額をそのまま返済します。240万円を借りた場合、利息が発生しないため、借入額と返済総額は同じです。返済期間が長くても、負担が増えることはありません。
 

有利子奨学金(第二種)の場合

一方、有利子奨学金では利率が設定されます。利率は借入時の制度や市場金利の影響を受けますが、日本学生支援機構の第二種奨学金では、実際の貸与利率はおおむね年0.5~2.0%の範囲で推移することが多いとされています。
ここでは240万円を借り、15年間で返済するケースを例にシミュレーションします。
図表1

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーションより筆者作成
図表1のように、利率が2%前後になると総返済額が270万円を超え、借入額より30万円以上多く返済することになる可能性があります。
 

奨学金返済は家計にどの程度の影響がある?

「月1万円台」は、大きな負担には見えないかもしれません。しかし、新社会人の家計を考えた場合、長期的には一定の影響があることも事実です。例えば、手取り月収が20万円の場合、1万3000円の返済は次の割合となります。
1万3000円÷20万円×100=6.5%
つまり、手取り収入の約6%前後が奨学金返済に充てられる計算です。金額としては大きくなくても、返済期間が15年と長いため、貯蓄や生活費に影響するかもしれません。
 

将来のライフイベントへの影響

奨学金返済は長期にわたるため、以下のようなライフイベントと重なる可能性があります。


・結婚
・住宅購入
・子育て

特に住宅ローンの審査では、奨学金も「借入」として扱われることがあり、返済状況は重要です。毎月の負担は小さくても、長期的な家計管理の中で考えることが大切です。
 

奨学金返済が不安な場合に知っておきたい制度

奨学金の返済は長期間続くため、途中で家計が厳しくなる可能性もあります。日本学生支援機構では、そのような場合の支援制度が用意されています。


減額返還制度:収入が少ないなどの場合、月々の返済額を減らして返済期間を延ばす制度
返還期限猶予:失業や病気などで返済が難しい場合、一定期間返済を停止できる制度。状況によっては数年間の猶予が認められるケースもある

一方、余裕がある場合は繰上返済も可能です。特に有利子奨学金では、早く返済することで利息負担を減らせます。
 

奨学金は「月額」だけでなく総返済額と返済期間で考えることが大切

240万円の奨学金は、月1万円台の返済であれば大きな負担には思えないかもしれません。
しかし、有利子奨学金では利率によって総返済額が大きく変わり、270万円前後になる可能性もあります。さらに、返済期間が15~20年程度と長いため、社会人生活のさまざまなライフイベントと重なってくる可能性があります。
重要なのは、毎月の返済額だけで判断するのではなく、総返済額や将来の家計への影響まで見据えて考えることです。制度や支援策を理解し、無理のない返済計画を立ててください。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金の返還について
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー