「親が同乗してるから」仮免許で高速道路は走れるのか? SNS投稿が波紋、弁護士が法的解説
仮免許を取得したばかりの女性が、自動車の車内写真とともに「家族と一緒に高速道路を運転して旅行した」とSNSに投稿したところ、「仮免で高速は走れないのでは」「違法行為ではないか」といった疑問の声が相次ぎました。
ほかにも「子どもが仮免許とったので、練習がてら買い物に行った」という投稿もみられました。
投稿者たちは、仮免許での運転を指摘されると、「仮免許練習中というプレートをつけている」「親が一緒だったから大丈夫だと思った」「こちらの地域では、練習目的なら買い物も飲食店もOK」などと説明していました。
仮免許で高速道路を走行することは、法的に認められているのでしょうか。仮に違法だった場合、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。清水卓弁護士に聞きました。
●練習のためでも「仮免許で高速運転」はダメ
──仮免許のまま高速道路を運転することは、道路交通法上、そもそも認められているのでしょうか。
結論からいえば、仮免許のまま高速道路を運転することは、原則として、たとえ練習のためであっても法的に認められていません。
道路交通法87条1項では、普通自動車など運転できる第一種免許または第二種免許を受けないで、練習のため運転しようとする人は、普通自動車であるときは普通仮免許を受けなければならないとされています。
そのため「練習のため」であれば、仮免許で高速道路を運転することも可能ではないか、という誤解が生じるかもしれません。
しかし、運転免許試験を受けるためには、仮免許を受けたうえで、過去3カ月以内に5日以上、「内閣府令で定めるところにより道路において自動車の運転の練習をした者でなければならない」とされています(道路交通法96条の2)。
そして、これを受けて、道路交通法施行規則21条の17では、運転の練習について「高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路において…(中略)…行う練習とする」としています。
つまり、仮免許のまま高速道路を運転することはできません。なお、指定自動車教習所での高速教習は、例外的に認められています。
●旅行や買物目的なら「無免許運転」に
──「仮免許運転中」の標識を掲げ、家族が同乗していた場合でも、旅行や買い物といった私的な目的で公道(高速道路以外)を走った場合、法律上どのような扱いになるのでしょうか。違反にあたる場合、どのような処罰が考えられますか。
道路交通法87条では、仮免許で路上を運転するための条件として、次のように定められています。
(1)運転の目的が「練習」のためであること
(2)資格のある指導者の同乗かつ指導下での運転であること
(3)車両の前面及び後面に内閣府令で定める様式の仮免許練習標識を付けること
今回のケースでは、同乗していた家族が「資格のある指導者」に該当し、標識も適切に掲げられていた可能性はあります。その場合でも、「資格のある指導者」の指導下での運転とは評価されにくいでしょう。
このような運転をした人は、仮免許運転違反(道交法87条2項後段違反)として、6カ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処されるおそれがあります。
また、練習目的がまったくないようなケースでは、無免許運転(道路交通法64条1項違反)として、運転者は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されるおそれもあります。
裁判例でも、「仮免許はあくまで練習目的に限られる」として、ただ家に早く帰りたい一心から他人の自動車を窃取して運転したことにつき、練習目的がまったくない運転であり、無免許運転にあたると判断されています。
●同乗していた家族の責任は?
──今回のような場合、運転した本人だけでなく、同乗していた家族に法的責任が問われることはありますか。
道路交通法87条2項では、仮免許で公道を運転する際には、免許取得から3年以上経過した指導者が同乗し、その指導のもとで運転しなければならないと定められています。
このルールに違反した場合、「仮免許運転違反」となり、6カ月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科される可能性があります。
ただし、仮免許の運転者が練習目的ではなく、私的な目的で運転していた場合について、同乗していた家族まで「仮免許運転違反」として、直ちに処罰されるわけではありません。
法律上、処罰の対象となるのは「規定に違反して運転した者」、つまり運転者本人です。
ただし、同乗していた家族が、違反であることを認識したうえで運転を積極的に促すなど、教唆や幇助にあたる行為があった場合には、別途、法的責任を問われる可能性はあります。
【取材協力弁護士】
清水 卓(しみず・たく)弁護士
東京の銀座にある法律事務所の代表を務め、『週刊ダイヤモンド(2014年10月11日号)』で「プロ推奨の辣腕弁護士 ベスト50」に選出されるなど近時注目の弁護士。交通事故分野などで活躍中。被害者救済をライフワークとする“被害者の味方”。
事務所名:しみず法律事務所
事務所URL:http://shimizu-lawyer.jp/
