Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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台風や記録的豪雨などにより県内含め全国で頻発する車両の浸水被害…先日の台風15号では、静岡空港で車の浸水被害が発生しました。被害にあった車の問題や浸水対策について考えます。

9月12日、三重・四日市市内にある地下駐車場。ドライブレコーダーには車が水しぶきをあげて進む様子が。

坂を登り地上に出ても…道路は川のようになっていました。

この日、四日市市内では、観測史上最大となる1時間に123.5ミリの猛烈な雨が。この影響で、市内の中心部にある地下駐車場が浸水し中には274台の車が取り残された状態になっています。その内部では…。

(記者)
「車が車列をみだして止まっています。また、置かれている車を見ても完全に泥がかぶってる状態です。白く泥がかぶっていて窓ガラスが全く見えない状態です」

なかには…。

(記者)
「こちらの車、前の車に折り重なって完全に後輪部分が浮いてしまっています。バンパーがぐしゃっとつぶれ、横の車のミラーにおおい被さっています」

水没により浮いたとみられる車が、あらぬ方向を向いていました。ボディは大きなへこみ。ミラーは、ポッキリと折れた状態に。さらには、ハンドルにカビが生えた車も。

これほど甚大な被害を防ぐことはできなかったのでしょうか。

実は、この駐車場、水没を防ぐ仕組みにある問題を抱えていたのです。

(記者)
「こちら地下駐車場に続く車の出口ですが、電動式の止水板が雨が降る前から壊れていたということです」

この赤くなっている部分が水没した地下駐車場で、3か所の出入り口がありますが、そのうち「東入口と出口」の2か所で地上からの水の侵入を防ぐ止水板が壊れていたのです。

故障の経緯や修理が滞っていた理由については、現時点では明らかになっていません。

さらに、歩行者の出入り口は7か所あり、それぞれ手動式の止水板がありますが、急激な浸水だったため、設置が間に合わなかったということです。

(記者)
「この止水板地下からもってきたのですが、かなり重たいようで、台車に乗せて作業員3人で上まで持ってきました」

今後の雨に備えて、手動式の止水板の設置が行われましたが、大人が3人がかりでも1か所の設置に10分ほどかかっていました。また、電動の止水板が壊れていた出入り口にも土のうが積まれ、再び浸水が起こらないように対策していました。

浸水被害から1週間以上たち、水没した地下駐車場の安全対策が完了したとして、ようやく内部に入ることができた車の所有者は…。

(所有者)
「沈んだ気持ち。めんどくさいよね。便利悪いですよ、通勤に困ります」

現場には、23日午後3時までに、233人が訪れましたが、いまだ8台の所有者と連絡が取れていないということです。ただ、中にある車の搬出について目途は立っていません。

一方で、静岡県内にも地下駐車場がありますが、浸水への対策は取られているのでしょうか?

ここは静岡駅前にある地下駐車場「エキパ」。400台を収容できる静岡市が運営する駐車場で市の中心部にあるため利便性が高く多くの利用者がいます。

ここを管理する市の担当課によると、出入口が接続する国道1号が冠水するレベルの雨が降った際には、設置されている止水板を手動で立ち上げ水の流入を防ぐなど、対応マニュアルが策定されているということです。

実は「エキパ」では、3年前の台風15号の際に大雨による浸水があり、車の被害は無かったものの 、駐車場の機械が故障して営業ができなくなる事態となりました。この時の教訓から、緊急時にすぐ対応するため、駐車場内の事務所に「簡易止水板」を常備。浸水被害の恐れがある場合には、出入り口はもちろん駐車場内にも止水板を設置し、被害の軽減に努めるということです。

“車の冠水被害”は、先日の15号による大雨でも。

山の上に作られた静岡空港ですが、ターミナルの西側にある駐車場の一画が冠水し、停められていた300台ほどの車が、最大で1メートルほど水没しました。この男性の車はエンジンルームまで水が入ったといいます。

(被害に遭った男性)
「まだ買って年数が浅いのでいろいろカスタムとかもしてきたので悔しい」

空港を設置した静岡県の鈴木知事は、今回の冠水について「国の設計基準を超える雨が降ったこと」が原因と話します。

(鈴木知事)
「時間110ミリという国の基準に従って設計されていたが、今回はそれを超える雨量があった。すべて想定して対策を講じるのは難しい。国と調整する中で、今後どういう対応をした方がいいのか検討していきます」

一方で、空港を運営する「富士山静岡空港」は、ホームページで「天変地異や不可抗力による損害は免責事項のため車の補償は致しかねます」と発表しています。

今回のように大雨により駐車場で車が冠水した場合、施設の管理者から補償を受けることはできないのでしょうか?交通事故や補償に詳しい増田 英行弁護士は、「損害賠償を請求することも可能だが難しい裁判になる」と話します。

(増田 英行 弁護士)
「一般的にいうところの管理上の過失があるかどうかが問題になってきます。過失の中身については、一つは予見可能性、もう一つは結果回避義務違反、結果を回避することができたのか。そうすべき義務があったのかという2点から論じられることが多いです」

つまり、管理者はこれほどの被害が起こることを予想できたのか、また、その被害を防ぐために対策する義務があったのか…が争点になるといいますが…。

(増田 英行 弁護士)
「被害者側の立場から弁護士として見ると、複雑な要素を管理者側と争っていかなければいけないということで、非常に難しい訴訟になる」

過去に請求が認められたケースでも、裁判には2年ほどかかったといいます。一方で、増田弁護士は、思わぬ事態で愛車を失うリスクに備え、「任意の車両保険」への加入を勧めています。

(増田 英行 弁護士)
「救済の方法として現実的なのは、車両特約保険ということになります。元々、自動車保険は交通事故を想定してつくられていますし、交通事故の場合は非常に有用ではあるが、
最近は自然災害で水没したり。竜巻で物が飛んできて車にぶつかることもありえる。自分のかけている保険が一番スムーズですし、確実に受けられるので、可能な限り入っておいた方がいいかなと思います」