徹底分析!MaaSはユーザー体験をどう変える?
データ最適化は消耗戦
「日本の公共交通は世界的に優秀だ。海外のMaaSをそのまま導入しても合わない。日本の強みを生かすモデルが必要」と三菱総合研究所の外山友里絵研究員は指摘する。日本では、すでに鉄道やバスなどの交通事業者が競合の壁を越えて連携してきた。ダイヤ接続や路線への乗り入れ、運賃の支払いなどの連続性を実現し、サービスの質を高めてきた。都市部の公共交通は移動効率が高い。
大量輸送機関にタクシーやシェアした車を接続する場合もスマートフォンの地図アプリケーションなどで、乗り継ぎを考慮した最短ルートを検索できる。アプリによるルート案内が利用者に移動法を割り振り、価格交渉まで担うようになると交通事業者はアプリの下請けになると危惧されている。日高社長は「(アプリ事業者が)交通事業者から手数料を徴収させない法律が海外では検討されている」と指摘する。
交通事業者単独では効率化の余地が少ない状況で、事業者同士が組んでデータを統合し全体最適を目指すことになる。データ統合への投資は回収できるのか、データを握った事業者は利益を交通事業者に還元するのか、見通せないでいる。トヨタ自動車などとモビリティーサービスを手がけるソフトバンクの宮川潤一副社長は「地方山間部で人の移動だけで持続可能なモデルを作ることはギブアップした」と振り返る。
三菱総研の鈴木啓史次世代インフラ事業本部長は「鉄道会社の沿線開発など、移動は何かに付随する価値だった。地方から交通単体での継続が難しくなってきている。新しいシステムを作る必要がある」と指摘する。単純なのは移動先で受けるサービスと移動中のサービスとの連携だ。観光地や飲食店への移動中に文化や作法を予習し、現地での体験をより高める。だがスマホやタブレットを超える顧客体験を提供する必要がある。
