「私のこと、馬鹿だと思ってた…?」狂気に満ちた妻が下した、サイコパス夫への最後の制裁
東大出身/外資系証券会社勤務/身長185cm/イケメン
このスペックを見て、あなたは何を感じるだろうか。
え?…ハイスペ男子?
あぁ、世間ではそう持て囃されているみたいね。しかもその人、爽やかで優しくて気が利いて、笑顔がとっても素敵みたい。
そんな完璧な人間、出会ったことある?
いたら、結婚したい?
やめておいたほうが、身のためだわ。
完璧な人間なんてこの世に存在しないのだから。もし存在するとしたら、その人は…“サイコパス”かもしれない。
その証拠をもとに、希はついに歩に離婚を切り出した。

「離婚、しよう」
まさか、私がこんな事を言うなんて思ってもいなかったんでしょうね。あの時の貴方の顔を思い出すと、今でもぞっとする。
無言で立ち上がった貴方に殺される…と思ったわ。
私、とっさに目の前にあったケーキを投げちゃって…。生クリームまみれになって唖然と立ち尽くす姿は、傑作だったわ。
◆
妊娠が発覚し、結婚式を勝手にキャンセルされたあの日から、私は今日という日を心待ちにしていた。
離婚を心に決めたものの、「子供が欲しい」と願ったのは、紛れも無い事実。お腹の子にはなんの罪もない。この子は私が全力で守ろうと決意した。
歩は人の命をなんとも思っていない、冷酷で恐ろしい人間。
歩を刺激し、私と赤ちゃんの身に何かあってはならない…。水面下で全ての証拠を揃えて虎視眈眈と離婚の準備を進めることにしたのだ。
すぐに弁護士に相談したが、歩は結局、私の産む選択を尊重したので、この事実だけでは離婚は成立しないというのだ。
遂に明かされる…水面下で離婚準備を進めていた妻の本音とは…?
その日から、歩との会話は全てボイスレコーダーで録音。癇癪を起こしたくなる時もあったけど、離婚に不利にならないように従順な妻を演じ続けた。
罵倒したり、物に当たろうものなら、私が逆にモラハラで訴えられる可能性もあると言う。ちょうど悪阻の最中だったこともあり、そんな元気はなかったのが功を奏した。

途中、心配性の母にこの事を伝えたいと思ったが、電話やメールで伝えるのは危険だと判断し、直接話そうと実家に帰った。
しかし、あろうことか歩は実家まで追いかけてきたのだ。
歩のいる前で母に泣きついてやろうかと思ったけれど、離婚計画を悟られないためにも涙を堪えて従順な妻を演じ続けた。
歩がホテルステイし始めて、家に帰ってこなくなったのは好都合だった。夫婦は同居する義務があり、合意なく一方的にそれを放棄する事は離婚の理由の一つになるのだ。
それでも、歩には家事の負担を減らすためという大義名分があったので、ホテルで浮気をしていてくれたら…と願っていた。そしたらすぐに慰謝料を請求して離婚が成立するから。
周囲には探偵をつけろと言われたが、調べてみるとかなりの金額がかかりそうだ。証拠を撮れても、ホテルに入る瞬間の写真程度。
歩は、女とホテルに手を繋いで入るような馬鹿な真似は絶対しない。一発で不貞行為が見つかる可能性は低く、数百万かかる可能性もある。
物は試しと思って数回探偵をつけてみたが、不貞に関してはなんの証拠も上がらなかった。
しかしそれで分かったのは、妊娠中の私を放置して毎日飲み会三昧、海外出張といいながら、妊娠中で飛行機に乗れない私を置いて海外旅行をしていたということ。
探偵の手も届かない海外で、誰かと待ち合わせて浮気していたとしたら…もっと許せない。
残念なことに、妊娠中の妻を置いて飲み会や海外に行ったからといって離婚は成立しない。やはり一発で離婚が成立する証拠…“不貞行為の証拠”が欲しかった。
しかし探偵を使うなんて無駄なお金だったことがすぐに分かった。
そう、私には奈々という強力なジョーカーがいたから…。
麻矢子は歩に、私を紹介する前に奈々を紹介していた。
麻也子の話によると、2人は何度か食事に行き、奈々は歩にゾッコンだったらしい。結局、歩のお眼鏡にかなわず付き合うまでには至らなかったが、”そういう関係”になっていたというのだ。
しかし私と出会った日、歩は奈々に別れを告げたそうだ。
奈々は今でも歩の事を引きずり、歩を奪った私を恨んでいるようだった。
結婚を反対したのも、離婚を勧めたのも、歩の恐ろしさを知っていたからというだけでなく、奈々の恋心が強く働いていたのだろう。
夫と浮気していた親友は、とことん利用させていただきます
歩は不眠症のため、休日は薬を服用している。歩が深い眠りについた後、スマホに指紋をかざし、LINEを起動させた。
彼も警戒していたのか、写真やLINEの履歴は全て消されており、証拠になるようなものは何もなかった。
私は歩になりすまし、奈々に「会いたい」と送ると、5秒で返事がきた。そこで奈々の気持ちを確信した。
後日、奈々に歩の事を相談すると、待ってましたと言わんばかりに離婚を勧めてきたのだ。
「不倫の証拠があればすぐに離婚できるのに…」
私がそう言うと、奈々は歩からのLINEを見せてくれた。私が送った「会いたい」というメッセージ。
奈々の少し勝ち誇った表情から、これはささやかなマウンティングなのだろうと思った。あなたの旦那さん、私に気がありますよ…という。
そして奈々は、不貞の事実もあっさり打ち明けてきた。その瞬間、心のどこかで覚悟はしていたものの、目の前が真っ白になった。

でも、これで手間が省けて助かった。
奈々は、私と歩を離婚させたい。
私も離婚したい。
利害が一致しているので協力してもらうことにした。
妊娠を理由に夫婦生活を避けていたので、スタイル抜群の奈々からの誘いは効果抜群だったようだ。
普通の人間であれば嫁の友達と“そんな事”は絶対にしない。しかし、歩はサイコパスだから平然とやってのけるのだ。
歩は奈々の裸の写真を持っているらしく、それで奈々を脅迫し、2人の秘密の関係は墓場まで持って行かせるつもりだったようだが…。
奈々には、裸の写真を削除し慰謝料を請求しない代わりに、不貞行為の証拠を提供してもらった。
これで、全ての証拠が揃った。
私の事を傷つけた歩と奈々を懲らしめたいとも思ったが、彼らが苦しんだところで私には何のメリットもない。
だから、自分の手は一切汚さずに弁護士に全て丸投げして、私は実家で穏やかに育児に専念する予定。
でも「離婚しよう」の一言だけは、面と向かって言いたかった。最後にとびきり美しい姿を見せつけてね。だから悪阻が終わる今日という日を心待ちにしていた。
明日、歩の職場に内容証明が届く。
それと…。
奈々の裸の写真は削除せず、弁護士を通じて慰謝料もしっかり請求させてもらった。
…二人まとめて地獄に堕ちればいいのよ。
◆
サイコパス夫に制裁を下すには、直ぐに騒ぎ立てず、水面下で淡々と進めるのです。全ての証拠を掴んで温めて、最適な時を見極めて一気に仕掛けるのです。
ねぇ。私のこと、ステータスや金目当てで結婚した馬鹿な女だと思ってた?
私は一応資産家の娘で、だからそもそもお金目当てだったら、サラリーマンとなんか結婚しない。
心の底から彼が好きで、結婚した。これは自信を持って言える。だからこそ本当に傷ついたし、絶対許せなかった。
離婚を心に決めていたのに、本心を隠してニコニコ接するのは辛かったわ。でも、そんな時は「私はサイコパス」と心の中で念じたの。
サイコパスは目的の達成のためにはなんだってするんだって。私も目的を達成するために、冷静に賢く、彼より一枚上手に生きようと思ったの。
サイコパスな夫から、学ばせていただいたわ。
だから最後に…あなたもこれを忘れないでね。
-あなたの隣でニコニコ微笑んでいるあの人も、笑顔の仮面を被ったサイコパスかもしれない―
ーFin.

