「死が近い人の匂い」というものがあるという


【漫画】本編を読む

これは、ある郵便配達員が体験した不可思議な実話だ。とある一軒家には、配達に訪れるたびに配達員を困らせる少年がいた。ある日も木の上に仕掛けられたバケツの水を頭から浴びせられ、「コラ坊主!」と追いかけると、あらかじめ用意されていた罠へ誘導されてしまう。

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【漫画】本編を読む

散々な目に遭わされる配達員だが、記憶にあるその子は、本来そんな悪戯をするような性格ではなかったはずだ。お利口で行儀のよかった子どもが急変した理由とは一体何なのか。

■豹変した少年、繰り返される悪質ないたずらの謎

びしょ濡れになった配達員のもとに、少年の祖母が慌ててタオルを持って現れた。「母親が長くないと知って荒れているのです」と、祖母は悲痛な事情を明かす。母の死が近いと知ってから、少年は母親が寝ている部屋に近寄りもしなくなったのだという。

祖母は、少年が現実を受け止めきれず自暴自棄になっていると見ていた。しかし、配達員には別の心当たりがあった。「まさか……でも、まさか!?」と胸騒ぎを覚えた配達員が導き出した、少年の真意とは。本作を読んだ読者からは「声を上げて泣いてしまった」「胸を打たれた」といった声が続々と届いている。大切な人の死という、大人でも抗いようのない過酷な現実に直面した子どもの姿に、多くの人が涙した。

■現役郵便局員が描く、配達先で触れた「死の気配」

本作は、作者で現役郵便局員の送達ねこ(@jinjanosandou)さんの同僚による実体験に基づいている。かつてN局で長く配達員を務めていた村井さんが、死の気配が漂う家で、悪戯を繰り返す少年と向き合うために奮闘した日々を描いたものだ。

送達ねこさん自身も、この少年と重なるような不思議な経験があるという。決して霊感が強いわけではないと断りつつも、亡くなった人に触れられた感覚を覚えたことがあると明かす。かつて故人の部屋に数人でいたとき、誰の手も届かないはずの肩を、衣服のうえから指でしきりに擦られる感覚があった。そのとき、故人の母親から「たまに帰ってくるのよ」と聞かされたのだという。

■「気のせい」で片付けない、怪異への優しい視点

こうした不思議な体験について、送達ねこさんは「気のせい」と片付けることもできると考えている。しかし、もし故人があらゆる障壁を乗り越えて会いに来てくれたのだとしたら、それを気のせいにしてしまうのは「むごい」と感じるのだと語る。その優しくも真摯な視点が、作品の根底に流れている。

連載中の『郵便屋が集めた奇談』は、送達ねこさんのもとに寄せられた、全国の配達員たちが体験した奇妙な話を漫画化した作品だ。「郵便屋さんならではの視点がおもしろい」「背筋がゾクッとした」と高い評価を得ている。日本のどこかでひっそりと起きている、切なくも恐ろしい“怪異”の記録を、ぜひその目で確かめてほしい。

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