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実車を用いたシミュレーション装置

騒音・振動・ハーシュネス(NVH)は、新型車開発において重要な3つの要素だ。路面の起伏や凹凸から駆動系全体、タイヤ、ブレーキ、車体構造に至るまで、数百もの発生源から生じる騒音と振動を指す。

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多くの場合、乗員が感じるのは発生源の動きそのものではなく、車体の別の箇所に及んだ影響(例えばボディパネルの共鳴など)だ。


ポルシェが導入したシミュレーション装置『FaSiP』    ポルシェ

長年、開発エンジニアはNVH克服にあらゆる手を尽くしてきた。コンピューターが普及する以前には、単に厚い防音材や下地材を詰め込むことから始まり、振動や音を測定する複雑な装置の導入、さらにはトランクに乗り込んできしみ音を追跡するといった手法まで取られた。

過去20年ほどの間でコンピューターシミュレーションが登場し、NVHの発生源から伝播経路をモデル化することが可能になった。しかし、バーチャルテストだけでなく、実車での走行テストも依然として必要だ。

昨年、ポルシェはヴァイザッハの研究開発拠点で『FaSiP』というシミュレーション・テストベンチを導入した。この試験台では車両全体の振動特性だけでなく、車軸などの個別部品の制御も可能だ。

あらゆる振動を再現する能力

車両はFaSiP上に載せられ、各車輪は厚さ0.4mmのスチール製ベルト上で個別に回転する。ベルト速度を変化させることでタイヤの前後運動を発生させ、車両を振動させることができる。ベルト下部の油圧ラムは垂直方向の衝撃も発生可能だ。これらを組み合わせ、路面変化やマンホールの蓋など実世界で遭遇する力を再現できる。

こうしたテストは車輪を回転させて行うことが重要だ。例えば、タイヤの剛性は静止時と走行時で異なる。


ポルシェが導入したシミュレーション装置『FaSiP』    ポルシェ

路上での走行テストでは音響プロファイル全体を把握し、試験台では個別の要素に焦点を当てていく。それはまるで、問題箇所を拡大鏡で観察するようなものだ。エンジニアは車内に乗り込み、特定の「励起」要素や周波数帯域を調整・除去して問題点を特定できる。

ポルシェによれば、FaSiPは世界中のどこで発生した振動でも再現可能だという。最高250km/hまでの路面振動、プラスマイナス4mmの垂直振動を、0〜50Hzという広範囲な周波数帯域で振動をシミュレートできるとされている。

ポルシェは、このバーチャルと物理を組み合わせた複合試験を「ハイブリッドテスト」と呼んでいる。従来型の内燃機関車とEVではNVH特性が異なるため、両方を開発するメーカーにとって今後ますます重要性を増していくだろう。