ACLで川崎はグループ2位フィニッシュ。他組の結果により、グループステージ敗退となった。 (C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

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 マレーシアのサッカー史に残るであろう。川崎フロンターレと同組のジョホール・ダルル・タクジム(JDT)は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)グループステージの第6節で、後半アディショナルタイムの殴り合いを制し、劇的な決勝点で蔚山現代(韓国)に2−1の勝利。グループ首位でラウンド16進出を決めた。

 その裏で、川崎はGSを2位で終える。その後、ほかグループの動向を待った川崎に朗報は届かず、GS敗退が決まった。ジョホールバルで一敗地に塗れた川崎は、今季も悲願のACL制覇を果たせなかった。

 昨季に続き、集中開催されたGSで川崎は、前述の2チームに中国の広州FCを加えたI組に振り分けられた。若手選手で編成された広州は論外として、日韓の強豪チームに対し、ホームアドバンテージを最大限に利用したJDTが加わった三つ巴の戦いは熾烈だった。

 結果的に敗退した今季のACLは、川崎にとって難しい大会となった。以下、その件について解説してみたい。
 
 今季のACLの難しさの一つは、ジョホールバルを本拠地とするJDTの意外な健闘で、その原因の一つが試合開催スタジアムの偏りにあると考える。

 ホームのJDTは、谷口彰悟が「日本の芝生みたいなピッチだったので。スタジアムにストレスはなかった」と話すスルタン・イブラヒム・スタジアムで、6戦全ての試合を実施。その一方で、川崎、蔚山、広州の3チームはタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユーヌス・スタジアム(旧名ラーキンスタジアム)でそれぞれ4試合を行なったが、ピッチコンディションとパスサッカーとの相性の悪さは明らかだった。

 例えば、第1戦の蔚山戦(△1−1)と第2戦の広州戦(〇8−0)で2試合連続得点の車屋紳太郎は芝について、高校時代の土のグラウンド以来の感覚だったと話す。

「柔らかいし、急にボールが跳ねたりするので。基本、バウンドしますよね、パスが。だからトラップに気を使うし、ボールの移動中に(顔を上げて周りを)見るのは難しいですね。高校のときとか、土のピッチだとそういうことがあったんですが、久しぶりですね、この感覚は」

 蔚山との第5戦(●2−3)では、ピッチコンディションに起因する決定機でのミスが頻発した。結果的にJDTが1位通過した事を考えると、やはりピッチコンディションは結果を左右する要素になっていたのかもしれない。

 またそうしたピッチ状況も含めた試合展開を判断し、戦い方を変えることができなかったのも敗退の一因だったとの指摘もあるが、これは非常に難しい問題である。
 
 例えば谷口は、今般のACLで学んだこととして「戦い方だったり、そういったものはチーム全体でまた考えていかないといけない部分。ACLならではの部分ももちろんある」と発言。ただし、それはいわゆるアジア仕様のサッカーへの転換の必要性の議論とは違うのだと言う。

 谷口は「そこがちょっと難しいというか」と口にして、次のような見解を述べている。ちなみにここで言う、アジア仕様のサッカーとは前に蹴るスタイルのこと。そうした議論に対し谷口は「自分たちが自信のあるサッカーをやった方が強いんじゃないかって思うのは当たり前。そんなものは僕ら選手なんかより多分スタッフ、監督の方がもう何十周って、そういうことを考えて、結果としてこういうプラン(ショートパス主体)で」試合を始めたのだと語った。

 戦術の問題ではなく「ゲームの状況や判断、1対1、個人のバトルも含め、個人としてもチームとしても、もっともっと上げていかないと勝てない」のだとしている。

 なお、この件について鬼木達監督は「自分たちのサッカーは、綺麗につないで、綺麗な得点を、っていうイメージが多分強い方が多いと思いますけど、そういうことでは自分の中ではない」と川崎らしいサッカーに固執する訳ではないとしている。