口唇裂で生まれた子犬と2歳男児(画像は『Washington Post 2020年9月10日付「A puppy with a cleft lip is adopted by a boy with a cleft lip: ‘They instantly loved each other’」(Lydia Sattler)』のスクリーンショット)

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このほどアメリカにて、先天性異常を持って生まれた2歳の男児がアニマルシェルターを通じて同じ病気を持つ子犬と仲良くなり、家族として迎え入れ一緒に暮らすことになった。出会うや否やすぐさま惹かれ合い、仲良くじゃれ合う彼らの幸せそうな姿にシェルター従業員たちは涙したという。『Washington Post』『LADbible』などが伝えている。

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米ミシガン州ジャクソンに住むブランドン・ボイヤーズさん(Brandon Boyers、27)の2歳になる息子ベントレー君(Bentley)は、アメリカで2800人に1人の確率で出現する先天性形態異常「口唇裂」を持って生まれてきた。 口唇裂は母親の胎内で閉じるべき唇部分が裂けたままに生まれてくる先天異常で、ベントレー君は生後5か月からこれまでに2度ほど手術を受けたという。 そんなベントレー君に、同じ病気を持つ仲間が現れた。

ある日、家族で経営する小さな農場を拡大しようと鶏を探しにアニマルシェルターに足を運んだブランドンさんは、そこで息子と同じ口唇裂の子犬がいるのを見つけた。ブランドンさんは当時のことをこのように明かしている。

「正直、かなり衝撃だったよ。これまでに口唇裂の犬を見たことがなかったからね。」

そしてブランドンさんは妻アシュリーさん(Ashley、23)にFaceTimeでその子犬を見せた。するとアシュリーさんは「すぐにその子を引き取って! 今日にでも連れて帰ってきてちょうだい」とブランドンさんに伝えたという。

のちに“レイシー(Lacey)”と名付けられたこの生後2か月のメス犬は、ミシガン州から1000マイル(約1600キロ)以上離れたミシシッピ州よりジャクソン郡アニマルシェルターに約1週間前、他の24匹と共に移動してきた。レイシーはその容貌のせいか、引き取り手がないまま最後の1匹になっていた。

ブランドンさんはすぐにでも引き取りたいとシェルターに申し出たが、レイシーは2日後に最後の獣医検診が控えており、残念ながらその日のうちに連れて帰ることは叶わなかった。しかし一刻もこの子犬を息子に会わせたかったアシュリーさんは翌日、ベントレー君を連れてレイシーのもとを訪れたのだった。 アシュリーさんはその時の様子をこう振り返っている。

「彼らはすぐにお互いに夢中になり、意気投合したようでした。」
「ベントレーがレイシーを腕に抱いて引き寄せると、皆がその光景に涙したんです。」

同シェルターの責任者リディア・ザットラーさん(Lydia Sattler)によると、口唇裂で生まれてきた犬を抱えるのはこのシェルター始まって以来だという。リディアさんはベントレー君とレイシーの初めて対面について、以下のように話している。

「彼らが一緒にいる姿を見て私たちはつい涙してしまいました。」
「1000マイル以上離れた場所から子犬がやってきて、そしてたまたまベントレー君のお父さんがここに来るなんて滅多に起こり得ることじゃありません。なんていうか、ただただ素晴らしいことです。」
「子犬はすぐにベントレー君の愛を一心に受け取って、本当に喜んでいました。」

その後、ベントレー君一家の家族として迎え入れられたレイシーは、ベントレー君と片時も離れることなく一日中一緒に過ごしているそうだ。

アシュリーさんは口唇裂が偶然だとしても、レイシーはベントレー君のもとに来るべきしてやってきたとしてこのように考えているという。

「ベントレーはこの犬が自分と同じ状態だということを分かっています。」
「息子が子犬と共通点をもち、共有している姿はすごく素晴らしいものです。」

ブランドンさんも「ベントレーは、もう自分が一人きりと感じることはないでしょう。レイシーは息子の遊び相手という以上に、今後ベントレーにとって重要な仲間となるはずです」と語った。

まさに運命の出会いを果たしたベントレー君とレイシーは、これからもお互いを支え合いつつさらに強い絆を深めていくことだろう。

画像は『Washington Post 2020年9月10日付「A puppy with a cleft lip is adopted by a boy with a cleft lip: ‘They instantly loved each other’」(Lydia Sattler)(Family photo)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)