マーケティング部員は全員外国人、中小の医療機器メーカーの狙いとは
通訳のつもりが
「もともとは展示会の通訳として働いてもらうつもりだった」とフジタ医科器械の前多宏信社長は明かす。海外で医療機器の展示会を行う際、短期契約の通訳を今まで雇っていた。しかし医療分野の知識が足りない通訳も多く、ニュアンスが伝わらないことがしばしばあった。そこで日本語を話すことができる外国人従業員を新たに雇用した。
「良い国」で就職
「台湾では医療機器のコンサルティング会社で働いていた。以前から日本で働きたいと思っていた」と張さんは話す。大学3年生から日本語の勉強をはじめ、1か月の短期留学を経た後台湾で日本語能力試験にパスした。ヴァグネマークさんは大学で日本語を専攻し「世界から『良い国』と認められている日本で絶対就職したいと思っていた」と笑う。游さんは香港で10年間看護師として働いていた経歴を生かし働く。
外国人チームは通訳業務のほか、新製品の開発や国内外の販路開拓、マーケティングを担当している。特に今力を入れているのは米製の止血用製品の販売だ。欧米では対テロ用の必需品として公共施設や救急機関へ配備が進んでいるのに対し、日本ではまだ普及が進んでいない。「日本ではマーケティングがこれまでなかった。そこが勝機だ」と前多社長は話す。
驚いた商習慣
3人ともかなり堪能に日本語を話せるとはいえ、仕事には苦労もあるという。ヴァグネマークさんいわく「欧米ではクリスマス休暇が必ずあるが、日本の商習慣ではない。驚いた」。商習慣や文化の違いで悩むこともあるが、その都度社員同士で話し合って解決している。
3人とも同社で長く働きたいと思っているが、将来的に母国へ帰ったとしても、フジタ医科器械で身につけたスキルで医療機器のビジネスをしてほしいと前多社長は語っている。「そのためには資金援助もするし、できる限りアドバイスする」。外国人を雇用することで経験値を積み、業界に新たな動きを取り入れる。このような試みが医療機器の内外のビジネスに広がりをもたらすか注目したい。
