もみ殻の炭素材料、文化財の劣化を防ぐことができた!
トリポーラスは表面の微細な穴でにおい物質などを吸着する。原理は活性炭と同じだが、穴のサイズが異なる。活性炭は2ナノメートル以下(ナノは10億分の1)の穴が多いが、トリポーラスは2ナノメートル以下、2ナノ―50ナノメートル、50ナノメートル以上と小・中・大の3種類の穴がある。活性炭の穴では除去が難しいたんぱく質、菌も吸着できる。
現状、浄化設備ではウイルスを紫外線(UV)や薬品で殺菌している。トリポーラスの利用でUVや薬品が不要になると、簡易な浄化設備は電気なしで運転できる。ソニー知的財産センターの田畑誠一郎氏は「途上国の無電化地域で水の浄化に使える」と成果を語る。
また、米ソニーピクチャーズの美術館で行った検証ではトリポーラス入りの箱やシートの試作し、フィギュアなどを展示したケース内に設置。すると数日後、ケース内の酸性ガス濃度が下がった。文化財は酸性ガスにさらされると変色などの腐食が進むが、トリポーラスの穴に詰めたアルカリ薬品が酸性ガスを中和した。同社では「トリポーラスが文化財の保護用途にも役立つ」(田畑氏)とする。
ソニーは電池材料を探す課程で、もみ殻を薬品や水蒸気で処理したトリポーラスを開発した。1月から商品化で協業する企業を募集しており、ミツヤコーポレーション(堺市中区)はトリポーラスを練り込んで防臭効果を持たせた繊維を開発。ロート製薬はにおいの原因菌を捕捉するトリポーラス配合のボディーウォッシュを商品化した。
もみ殻の排出量は世界で年1億トン以上。トリポーラスの採用商品が増えると、もみ殻を有効活用でき、稲作が盛んな途上国で新たな雇用を創出する可能性がある。電機メーカーのソニーが開発した異色の素材が、大きな価値を生み出しそうだ。
