意外な省エネの第一歩。自然に触れた人は2ヶ月後まで環境に優しくなる
最近、キャンプやハイキングが好きになった人なら心当たりがあるかも?
東洋大学・高知工科大学・早稲田大学の研究グループが、ユニークな追跡調査の結果を発表しました。自然の中を舞台にしたスポーツイベントに参加すると、その後の日常でもごみ分別や節電といった環境配慮行動が増えるというデータです。
清流のそばを走ったら環境にも優しくなっていた
研究の舞台は、高知県の清流・四万十川を100km走り抜ける「四万十川ウルトラマラソン」の2024年大会。調査対象は初参加のランナー122人です。
「大会前、参加から2〜3週間後、参加から4〜5週間後」という3つのタイミングでアンケートを実施。ただ「どう感じた?」と聞くだけでなく、実際の行動が変わったかどうかを時系列で追った点が、この研究の核心です。
結果として、リサイクルや節電などの環境配慮行動は参加後に有意に増加し、しかもそれが1〜2ヶ月後まで持続していたことが確認されました。つまり「イベントの興奮が覚めたら元通り」ではなく、行動が日常に根付いていたわけです。
環境に関心が低い人ほど変化が大きい
さらに興味深いのが、「もともと環境に関心が低かった人ほど変化が大きかった」という発見です。もともとエコ意識の高い人はすでに行動していたので伸び幅が小さく(まぁイメージつきやすいですね)、むしろ「あまり気にしてなかった」層の行動が大きく変化した。
ガリガリに節電意識の高い人より、「気が向いたらスイッチ切るか…」くらいの人が、100km走って自然と対話したら価値観ごと動いてしまった、みたいな。
研究チームはこの背景を「保護動機理論」という心理学の枠組みで説明しています。要は「自分にもできるはず」という手応え(環境自己効力感)と、「自然を大切にしたい」という価値観(生物圏価値)が組み合わさって、意識が行動に変わるということ。自然の中を体ごと駆け抜けることで、その両方が同時に刺激されるのです。
この論文は、観光・スポーツ系の国際学術誌『Journal of Sustainable Tourism』に2026年4月に掲載されました。
ギズモードでもこのところ省エネや再エネの話題をよく取り上げていますが、この調査結果は「環境問題の解決策はテクノロジー」と考えがちだった僕にとっては、ちょっとした逆説でもありました。
最新の太陽光パネルや省エネ家電を知る前に、まず週末に山へ行ってみる。気持ちよく川のそばを走ってみる。それが意外と、日常の小さな選択を変えるきっかけになる。キャンプやハイキングが「良い趣味」なのは、ただ楽しいからだけじゃなかったみたいです。
Source: 高知工科大学(PR TIMES)

