子どもが年齢に合わないオンラインサービスや有害コンテンツにアクセスしないよう、イギリスではオンライン安全法に基づく年齢確認が強化されています。しかし、子どものオンライン安全に取り組む団体であるInternet Mattersの調査では、子どもたちがさまざまな方法で年齢確認を回避している実態が示されました。

The Online Safety Act: Are children safer online? | Internet Matters

https://www.internetmatters.org/hub/research/online-safety-act-report-2026/



Kids say they can beat age checks by drawing on a fake mustache • The Register

https://www.theregister.com/security/2026/05/04/kids-can-bypass-some-age-checks-with-a-drawn-on-mustache/5224601

オンライン安全法の子ども保護規定が2025年7月25日に施行された後、Internet Mattersは2025年9月15日〜2025年10月1日に、9歳〜16歳のイギリスの子どもとその保護者1270組を対象にオンライン調査を行いました。

調査の結果、子どもの68%と保護者の67%はコンテンツの報告機能やフィルターなどの安全機能を「以前より目にするようになった」と回答。さらに、子どもの53%は「オンラインプラットフォーム上で年齢確認を求められたことがある」と答えています。

年齢確認を求められた子どものうち、顔画像から年齢を推定する方法を使った子どもは37%、サードパーティーアプリを使った子どもは24%、政府発行の身分証明書を使った子どもは22%でした。一方で、年齢確認を求められた子どもの34%は年齢確認の手続きを最後まで進めなかったとのことです。理由としては「手続きが面倒だったこと」や「対象年齢が自分より高いと気づいたこと」などが挙げられています。

Internet Mattersは、年齢確認が広く使われるようになっているものの、子どもからは「回避しやすいもの」と見られていると指摘しています。子どもの46%は「年齢確認は回避しやすい」と回答し、「回避しにくい」と答えた子どもは17%にとどまりました。



子どもの32%は「過去2カ月間に年齢制限のある機能やアプリ、プラットフォーム、ウェブサイトへアクセスするため、何らかの方法で年齢確認を回避した」と回答しました。年齢確認を回避した理由としては、「年齢制限によって使えないSNSにアクセスするため」が34%、「オンラインゲームやゲームコミュニティに参加するため」が30%、「チャット・メッセージアプリを使うため」が29%でした。

年齢確認を回避するために最もよく使われていたのは「偽の誕生日を入力する方法」で、子ども全体の13%。親や兄弟姉妹を含む「他人のアカウントを使う方法」は9%、「他人の端末を使う方法」は8%でした。さらに、VPNを使った子どもは7%、他人の身分証明書を使った子どもは6%、顔画像による年齢推定を通すために関係のない写真を使った子どもは3%でした。

Internet Mattersは追加の調査として、2026年2月2日〜2026年2月16日に11歳〜16歳の子どもとその保護者を対象に、少人数での聞き取り調査を実施しました。そこではさらに具体的な回避方法が語られ、例えば11歳の少女は「ゲームのキャラクターが頭を動かしている動画を年齢確認に使う例を見た」と話していたとのこと。また、12歳男児の母親は「息子がアイブロウペンシルで顔に口ひげを描いているのを見つけたことがあり、その状態で15歳と認証された」と語っていたそうです。



また、子どもが自分の顔を見せた場合でも、顔画像から年齢を推定するシステムが実年齢を誤って判定することがあり、子どもたちは誤って推定された年齢のままサービスを使い続けていたとのことです。

13歳の少年は、「ライブ配信に身分証明書が必要なら親の身分証明書を使い、写真のアップロードが必要ならインターネット上で探した画像を使う」と話しました。聞き取り調査の中では、AIを使って顔を年上に見せる方法への懸念も出ています。

年齢確認の回避には保護者が関わることもあります。保護者の26%は「子どもの年齢確認回避を許したことがある」と回答しました。このうち17%は積極的に手伝っており、9%は黙認していたとのことです。Internet Mattersによると、子どもの年齢確認回避を許した保護者は必ずしも危険を軽視していたわけではなく、保護者や子どもへの聞き取りでは、保護者が「自分はリスクを理解しており、自分の子どもなら安全だと判断できる」と考えているケースが語られました。



しかし、年齢確認システムが広がっても、子どもがオンライン上で有害な体験をする問題は残っています。子どもの49%は「過去1カ月間でオンライン上で何らかの有害な体験をした」と回答しました。具体例としては、「暴力的なコンテンツ」が12%、「現実離れした体型を理想のように見せるコンテンツ」が11%、「人種差別的・同性愛嫌悪的・性差別的なコンテンツ」が10%でした。

Internet Mattersのレイチェル・ハギンズCEOは「子どもが年齢や発達段階に合ったオンラインサービスだけを使えるようにするには、政府と業界の双方によるより強い対応が必要だ」と述べた上で、被害が起きた後に安全対策を追加するのではなく、オンラインサービスや新機能を作る段階から安全性を組み込む必要があると説明しています。