「エモい」はAIの苦手科目。Netflix創業者が語るAI時代に人間コンテンツが勝つ理由
AIに沈黙するエンタメ業界。
エンタメ業界からAIへの反発の声があまり上がって来ていないのは、ちょっと意外だと思いませんか? 業界全体として利益を産むことが最優先で、AIを使えばお金になる中身の薄いコンテンツを量産できると考えているからでしょうか。
そんな中、Netflixの共同創業者で現会長のリード・ヘイスティングス氏は、「人間側」につくことを選んだようです。もしかしたら、それも結局はビジネス的な判断なのかもしれませんが…。
影響を受けにくい業界はエンタメ、その理由は?
LinkedInの共同創業者リード・ホフマン氏とアリア・フィンガー氏がホストを務めるポッドキャスト「Possible」に登場したヘイスティングス氏。Business Insiderによるとヘイスティングス氏は番組内で、AIの影響を最も受けやすい業界はどこかと聞かれ、「最も影響を受けにくいのは、エンタメ業界だと思いますね。ロボット同士のバスケットボールの試合なんて、誰も観ないでしょう。私たちは人間同士のぶつかり合いが好きで、やはりそれに引き込まれるんです」と語ったとのこと。
スポーツにおけるドラマの本質
確かにそうかもしれません。今月初め、人型ロボットがハーフマラソンを完走するという記録を打ち立てたのですが、ネットでの話題になったのはその記録ではなく、ロボットがゴール直前の派手な転び方をしてバラバラに壊れてしまったこと。ロボットのハーフマラソン完走は技術的には素晴らしい成果なんですが、人間が共感できるようなものがないんですよね。
やはり、ロボットは人間ではないから、なんです。スポーツの醍醐味は、自分と同じ人間が自分にはできないことをやっている姿を見られるところにあります。スポーツ選手だったら息切れしたり、倒れ込んだりなど、体調の心配をしてしまうようなことも起きてしまいます。そういう心配を一切しなくていい、機械的な故障さえ起こさなければいいというロボットに、感情移入するのは難しいですよね。
AIは否定しないが「感情」は別物
とはいえ、ヘイスティングス氏はAIを完全に否定しているわけではありません。番組内では、AIがいずれ制作コストを下げるだろうとも語っています。ただし、人の感情に訴えかけるような作品づくりの分野については、AIに脅かされる心配はないとも話していた様子。つまり、AIで作られたバーチャル俳優がNetflixの次回作で契約を勝ち取ることはないだろうということです。
ただ、これを聞いてヘイスティングス氏が人類の未来に大きな希望を抱いていると思うのは尚早かもしれません。ヘイスティングス氏は、人間がそもそも心を動かされるような物語にじっくり付き合えるのかどうかという点に疑問を抱いているようです。
番組内では、若い世代は長尺のコンテンツに興味を持たず、TikTokをはじめとするショート動画プラットフォームでスクロールできるクリップのほうが魅力的に感じていることについて懸念を示していたヘイスティングス氏。実際に、Netflixの脚本家たちに、今画面で何が起きているかをセリフに入れ込んで繰り返し説明させている、という報道もありました。
スマホを見ながら片手間でNetflixを流している人でも、ストーリーについていけるように、という配慮らしいんですが…。

GIZMODO テック秘伝の書
