そろそろ将来のために資産運用をしてみたい…と思いつつ、1日中チャートとにらめっこしなきゃいけないなど、ハードルが高いイメージありません?

毎日仕事で忙しいのでずっと画面を見ている余裕はないし、ビジネスパーソンが資産運用をするのは諦めるしかないんでしょうか。

資産運用のプロである、株式会社資産デザイン研究所代表・内藤忍さんによると、まったくそんなことはないよう。

初心者でも取り組める「ほったらかし資産運用法」なるものがあるといいます。

寝てるあいだに資産が増えていく…そんな夢みたいな話、本当なのかなぁ。

〈聞き手=いしかわゆき〉


【内藤忍(ないとう・しのぶ)】株式会社資産デザイン研究所代表取締役、1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学経営大学院修士課程卒(MBA)。信託銀行勤務などを経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。マネックス・ユニバーシティなどの代表取締役を歴任後、株式会社資産デザイン研究所を設立。著作は40冊を超え、『初めての人のための資産運用ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はシリーズ27万部を超えるベストセラーに

いしかわ:
資産運用ってけっこう手間がかかるイメージがありますが、ほっとくだけで資産運用ができるって本当ですか?

内藤さん:
はい。そもそも個人でやる資産運用って、ちゃんとやり方を選べばほとんど手間はかからないんですよ。

いしかわ:
えっ、そうなんですか?

内藤さん:
僕がおすすめする「ほったらかし資産運用法」なら、チャートを見なくても、自分で売買しなくても、ほっとくだけで運用できます。

いしかわ:
それなら超初心者の私でもできそう…! さっそくどんな方法なのか教えてください!

ほったらかしで運用できる積立投資のメリット

内藤さん:
「ほったらかし資産運用法」とは、いわゆる「積立投資」と呼ばれるもの。一定のタイミングで、決まった金額分の金融商品を購入し続ける手法です。

いしかわ:
それはどの辺がいいんですか?

内藤さん:
積立投資には大きく分けて3つのメリットがあります。

積立投資のメリット О掬歸にラク

内藤さん:
まず、圧倒的にラクです。引き落とし日、 購入する商品、投資金額などをはじめに決めてしまえば、その後は何もせず自動的に運用できます。

また、投資に関する専門知識もそこまで必要ではないので、わざわざ勉強に時間を割くことなく取り組めます。

いしかわ:
これだけで、初心者が始めるのに十分な理由になりますね。

積立投資のメリット◆複利の効果が期待できる

内藤さん:
積立投資は長期的におこなうのが基本。それにより利益が利益を生む「複利効果」が期待できるのもメリットです。



いしかわ:
どういうことですか?

内藤さん:
これはお金が増えたらその分を再投資することで、雪だるま式にお金が増えていくこと。

たとえば10万円を2%の年利(投資額に対する利益の割合のこと。運用成績によって変動する)で運用できたとすると、年間2000円の利益が出ます。

これを投資に回せば、2年目は10万2000円に対して2%の利益が得られます。

いしかわ:
増えた投資金額をさらに運用できるから、長く続けるほど利益が出やすいってことですね!

積立投資のメリット:リスクが小さい

内藤さん:
しかも積立投資の基本である「ドルコスト平均法」を適用することで、投資のタイミングを分散でき、高値つかみを防止できます。

いしかわ:

内藤さん:
ドルコスト平均法とは、毎月一定の金額分の金融商品を購入しつづける方法。

あらかじめ決まったタイミングで買うので、素人がやってしまいがちな感情的な取引をして「高値づかみ(金融商品が高値になっているときに買ってしまう)」を防げます。

いしかわ:
買うタイミングを見計らわないことが、逆にメリットになるということか…

内藤さん:
そういうことです。

これらのメリットが組み合わさることで、積立投資は金融商品の運用方法としては最適というわけです。



リスク分散された、投資信託を積み立てるのがおすすめ

内藤さん:
そんな積立投資をする金融商品で特におすすめなのが「投資信託」です。

投資信託は、プロに運用を任せて投資をして、その実績に応じて成果が戻ってくるもの。

1つの銘柄に集中するのではなく、複数に分散投資されているため、株式を自分で選んで投資するよりリスクが低くなります。

いしかわ:
分散するとリスクが低くなるんですか…?

内藤さん:
はい、その通りです!

たとえば1つの銘柄の株式を買う場合、その会社の株価が大暴落したら大きなダメージを受けてしまいます。

一方で買っている3つの株式のうち暴落したものが1つであれば、ダメージは小さくなりますよね。

いしかわ:
なるほど! 投資先が分散された投資信託で、タイミングを分散する積立投資をする…盤石の組み合わせだ…

投資信託はインデックスファンドを選ぼう

内藤さん:
ただ、ここからさらに買うものを絞り込む必要があります。

投資信託には「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2種類があって、インデックスファンドがおすすめです。



いしかわ:
またよくわからない言葉だ。

内藤さん:
アクティブファンドは、ファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用します。一般的に手数料(信託報酬と呼ばれる運用にかかる費用)を高く取られてしまうんです。

一方で、インデックスファンドは株式相場の平均を表す「株価指数」と同じ値動きを目指す商品。

こちらの方が手数料がグッと安いんです。

いしかわ:
でもプロが代行してくれたほうが、リターンが大きくなるのでは?

内藤さん:
それがそうでもないんですよね。過去データを見ると、投資のプロであってもインデックス運用になかなか勝てないんです。

いしかわ:
だったら手数料が安いほうを選ぶのが懸命ですね。

おすすめの投資信託は、手数料最安をうたう「eMAXIS Slim」シリーズ

いしかわ:
具体的に買うべき商品のおすすめはありますか?

内藤さん:
僕がおすすめしているのは「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」シリーズです。

これはとにかく手数料を低くすることにこだわった商品で、業界最低水準の運用コストになるように常に見直しを実施しているそうです。


【「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」シリーズ】

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
eMAXIS Slim 国内債券インデックス
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

計8種



いしかわ:
うわぁ、いっぱいありますね…!

内藤さん:
私はこの中で下記の3本を選び、毎月積立をしています。


eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

内藤さん:
これで日本を含む世界中の株式に分散投資ができるのです。

NISAやiDeCoを活用して税優遇も受けよう

内藤さん:
さらに「NISA(少額投資非課税制度)」という制度も活用すると得します。

通常の投資だと、得た利益に約20%の税金がかかってしまうんですが、NISAを活用すれば一定額の投資に限り、税金がかからなくなるんです。

いしかわ:
そんなうれしい制度が…!

内藤さん:
また、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を活用した積立投資もおすすめ。

iDeCoは個人で運用する年金制度。60歳まで資産を受け取れないデメリットはありますが、NISAと同じ約20%の税金がかからなくなるメリットに加えて、さらに別の税優遇が受けられるんです。

内藤さん:
とりあえず試しに始めてみるならNISAを、長く続ける意志があるならiDeCoを活用しましょう。

もし投資するお金に余裕があるなら、両方活用するのが理想的です。

いしかわ:
NISAやiDeCoって、どうすれば始められるんですか?

内藤さん:
それぞれ専用の口座開設が必要です。いろんな金融機関がありますが、手数料が安く、比較的すぐに始められるネット証券がおすすめです。

いしかわ:
具体的には…?

内藤さん:
SBI証券と楽天証券が有名ですが、私の出身であるマネックス証券もよろしくお願いします(笑)。

これらの大手ネット証券であれば、どこでも大差はありません。

どれぐらいのお金を積み立てればいいの?

いしかわ:
どんな金融商品を選べばいいかってところはわかりました。

これから資産運用を始めるとして、積立金額はどのように決めればいいんでしょう?

内藤さん:
最低限3ヶ月分の生活費は確保したうえで、「無理のない範囲で」としか言いようがありません。人によってリスク許容度は違うので。

いしかわ:
お金を持ってても損にすごく敏感な人もいますもんね。

内藤さん:
心配な人は、とりあえず月に1万円の積み立てから始めてみて、余裕があれば増やすのもいいと思いますよ。

いしかわ:
あの…ここまで「ほったらかし資産運用法」についてお話いただきましたが、正直あまりに簡単そうで逆に不安になってきました。

内藤さん:
そもそも、資産運用ってそんなに難しいことじゃないんです。

難易度にかかわらず、積立投資を数十年単位の長期でやるのが現状の最適解。小さな損得は気にせず、長い目で見て資産運用していきましょう!



パソコンの隅に株価チャートを表示させながら作業をしている父の姿を見て、「投資ってめんどくさそうだな…」と敬遠していた私にとって、今回の「ほったらかし資産運用法」はまさにぴったりな方法でした!

数十年後の答え合わせを楽しみに、まずは1万円から積立投資を始めてみようと思います。

〈取材・文・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)/編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉

資産運用に興味のある方はこちらもどうぞ

内藤忍の公式ブログ 
http://www.shinoby.net/

内藤忍 (@shinoby7110) | Twitter
https://twitter.com/shinoby7110