離婚の原因1位である“性格の不一致”問題。どの夫婦にも当てはまる些細なキッカケとは
夫婦とは、不思議なものである。赤の他人同士が一緒になり、そして家族となって家庭を築いていく。
しかし、厚生労働省が発表している人口動態統計調査によると、2017年度で21万2,000組の夫婦が離婚している。
-永遠の愛を誓いますか?
そう誓ったはずなのに、どうして離婚を選んだのか。踏み留まった方が良かったのか、それとも離婚して正解だったのか…。当人たちにしかわからぬ事情。
この連載では、離婚まで至った背景とその原因について探ってみた。

名前:里美(さとみ)
年齢:33歳
職業:秘書
年収:500万
結婚歴:3年半
前夫の年齢と職業:35歳、経営コンサルタント
夕暮れ時に、待ち合わせ場所である表参道にある『TWO ROOMS GRILL | BAR』に現れた里美は、穏やかな表情を浮かべていた。
「前夫である幸之助とは、青山で一緒に住んでいました。だからこの界隈は二人の思い出の場所でもあるので、少し胸が締め付けられますね」
そう言いながら、テラス席から綺麗に見える藍色の空を見つめる里美。
現在大手外資系ブランドの秘書室にいるという里美が離婚したのは、1年前のことだという。
「決して、何か大きな事件があったわけではないんです。向こうが浮気をしたわけでもなければ、私に好きな人ができたわけでもないですし」
過去に話を聞いてきた方たちは、レスだったり、どちらかの不貞行為があったりと、明確な理由があった。
しかし、里美の場合はそういった問題はなかったという。
「今まで芸能人の方たちが、離婚の際に“性格の不一致”と言っているのを聞いて理解できませんでした。でもいざ自分ゴトとなり、これ以上ピッタリ表現できる言葉はないと痛感しましたね」
そう言いながら笑う里美。
そんな彼女の話を聞いているうちに、些細な日常生活の中にこそ、離婚の引き金が潜んでいることがわかったのだ。
離婚のキッカケは、本当に些細なことから始まる
改めて考える、性格の不一致とは
「幸之助と出会ったのは、食事会でした。同世代ながらも群を抜いて仕事ができ、稼いでいる幸之助と話しているのはとても楽しかったし、刺激になりました」
単調な日常生活が、幸之助との出会いによって変わったという。
「ちょっと俺様気質な所がありましたが、私が仕事で疲れている時にも、何でも決めてくれる決断力がある幸之助は、とても頼り甲斐がありました」
順調に交際は進むものの、気が強い者同士。交際期間中、小さなことで喧嘩は絶えなかったそうだ。
「今から考えると、その時にもっと気がついておくべきでした。でもお互い好きという気持ちはあり、年齢もあったので」
交際期間、約1年。ハワイ旅行の際にプロポーズをされ、“YES”と答えたことで二人は婚約関係を結んだ。
しかしここでも一つ、今になってみると思うことがあると言う。
「プロポーズを受けた時、泣けるほど嬉しかった。待ちわびていた瞬間であり、女の子ならば誰もが夢見るシーンだったと思います。でも・・・」
里美の声のトーンが、少し低くなる。
「夢見心地のハワイから帰国して現実に引き戻された時、ふと、“この人で本当にいいのかな?”と思ってしまった自分がいたんです」
でも、もう引き返せない。年齢的にも、今結婚しておいたほうがいい。幸之助に何か不満があった訳でもない、嫌いになった訳でもない。
そんなことを考えがなら婚約期間半年を経て、二人は正式な夫婦となった。

少しずつズレていく、二人の価値観
そんな里美だが、その婚約期間中に少しだけ引っかかることがあったそうだ。
「婚約期間中から同棲を始めたのですが、少しずつ幸之助の嫌な部分も見えてきました。頑固で仕事で疲れていると機嫌が悪くなるとか、朝が無駄に早くて、夜寝るのも異常に早いとか。本当に、そんな些細なことなのですが...」
当時、外資系ファンドに勤めていた幸之助は、とにかく朝が早かった。
その一方で、里美はフレックスタイムのため朝10時くらいまでに出社していれば誰からも文句は言われない。平日は、すれ違う日々が続く。
「それでも私はこの人と添い遂げると決めた訳ですし、朝起きる時間の違いなんて大した問題ではないと思っていました」
結局、幸之助が転職したことにより、朝の時間問題は解決した。
だがどこかで、言葉にはできぬ“しこり”が生じ始めたという。
「とても説明が難しいのですが・・・あれ?そういう人なんだ?っていう小さな違和感が、結婚生活が長くなればなるほど、増えていったんです」
小さな違和感が、徐々に大きくなった時・・・
籍を入れ、晴れて“夫婦”となった二人。
だが、二人の間の歪みは徐々に大きくなっていく。
「結婚して1年くらい経った頃でしょうか。母が体調を崩し、田舎へ一時帰らなければならなくなった時、山梨の実家まで車で送って欲しい、と頼んだんです」
当時幸之助は仕事が猛烈に忙しく、疲れていた。
そんなことは重々承知だったが、こちらは家族の問題である。週末ということもあり、車を出してくれると思っていた。
しかし、幸之助からは正反対の言葉が飛び出してきたのだ。
「“ごめん、疲れてるから自分で電車か何かで行ってくれない?”と」
たしかに電車でも行ける。だがその時に幸之助の真の冷たさを目の当たりにしたという。
「あぁ、本当はこういう人だったのか、と改めて感じました。私は、心細い気持ちもあって彼に一緒にいて欲しかったんですが」
そこから徐々に徐々に、目には見えぬ小さな亀裂が入っていくのだ。

「俺様的な所も最初は良かったけれど、結婚生活を送るうちに、ただのワガママに思えてきました。出かける店も部屋のインテリアも、彼の意見が全て。私の意見なんて、お構いなしだったんですよね」
そもそもインドア派の幸之助と、アウトドア派の里美。休日も、すれ違うことが多くなっていく。
また、仕事で疲れていると露骨に態度に出る幸之助。そんな彼に対し、最初は気を使っていたものの、里美も相手をしなくなる。
少しずつ会話が減り、いつの間にか大きな壁ができていた。
決して、大きな喧嘩をした訳ではない。だが気が付いた時には、その溝はもう埋められぬほど深くなっていたという。
「本当は、結婚前からお互い向いている方向が少しずつズレていたんだと思います。でもそれを見て見ぬフリをして結婚を推し進め、そして結婚生活を送ってきたツケが一気にきた、という感じですかね。きっと、幸之助も私と同じ気持ちだったんだと思います」
どちらも、悪くはない。
決定的な理由はない。
ただ、お互いの綻びを紡ぎ合うことができず、そして最初は小さなヒビだったものが、気がつけば夫婦を分裂させていたのだ。
「チグハグな夫婦生活は、いつか崩れる時が来る。そうなる前に、もっと早くに、私たちは気がつくべきでした」
結局、お互いこのまま一緒にいても意味がないと判断し、二人は離婚届に判を押した。慰謝料はないものの、財産分与は2分の1で落ち着いた。
「どうして離婚したの?とよく聞かれます。でも、私が言えるのはただ一言。
“性格の不一致だ”と」
-性格の不一致。
よく聞くこの離婚理由だが、その言葉の奥にはとても深い意味が隠されているようだ。
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