東京都の小池百合子知事(67)が2020年6月12日、東京都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)の再選を目指して立候補することを表明した。

小池氏は標語として「東京大改革2.0」を掲げたが、その前提には「1.0」の検証が不可欠だ。小池氏は16年の都知事選で、「7つの0(ゼロ)」を掲げた。そのひとつが「満員電車」だったが、その進捗について質問した記者に対して「まぁあの、揶揄(やゆ)するご質問かと思いますけれど...」などと不快感を示す一幕があった。

「7つの0」達成度聞かれても2つにしか言及せず

記者会見は約50分にわたって行われた。小池氏は今回は「出馬表明」の会見だとして、政策については改めて会見を開くと説明したものの、出馬表明と政策は不可分で、政策に関する質問も多く出た。

小池氏は16年の都知事選の選挙公報で「7つの0を目指します」とうたっており、ゼロにする対象として「待機児童」「介護離職」「残業」「都道電柱」「満員電車」「多摩格差」「ペット殺処分」を挙げていた。今回の会見の冒頭発言では、この7つのうち「待機児童」について

「4年前の当時、8466名待機児童がいらっしゃったが、今は約2000人台。四半世紀ぶりの減少になっている」
 

などとアピールした。記者から改めて

「4年前に様々な公約、『7つの0』などを掲げて(当選した)。4年を振り返って自己採点をするとすれば何点か。思ったように進められなかった政策はあるか」

と問われると、待機児童の減少について繰り返した上で、介護離職について「かなり進んできたところもある」と発言。残りの5つについては言及せず、

「何点かというのは、むしろ都民の皆様方に採点いただくものだと考えている」

とするにとどめた。

会見の終盤でも、公約の達成度を問う質問が出た。記者の質問は、

「現職なので4年間を振り返ることは非常に大事だと思うが、4年前にスギ花粉ゼロとか2階建ての山手線とか(言及していた)。コロナで若干満員電車は減ったが、実際知事になって(都政を)やってみて、『やっぱりこれ、無理だな』と思ったのか、あるいは次の4年間でスギ花粉や2階建てとか、そういうのも、まだまだ進めていくお考えなのか」

というもの。小池氏は「満員電車ゼロ」をめぐって、電車を2階建てにするアイデアを披露していた。「花粉症ゼロ」は、16年の都知事選公約の「7つの0」ではなく、17年の衆院選で自らが代表として率いた希望の党が公約として掲げた「12のゼロ」のうちのひとつだ。

「引き続き、色々なところと連携しながら進めていく」

質問を聞いた小池氏が、苦笑いしながら発した一言が「まぁあの、揶揄するご質問かと思いますけれど...」。なお、「揶揄」とは「からかうこと。からかい」(広辞苑)の意だ。その上で、花粉症については

「スギ花粉については100年の計だとは思うが、今花粉の少ない木に、段々と入れ替えている。これも着実に進めている。4年というターム(期間)で考えるか否か、だと思うが、テーマとしてきわめて重要なもの」

などと説明。満員電車については、新型コロナウイルス対策でテレワークが普及したことを指摘しながら、

「これから法令的なテレワークの位置づけをどうしていくのか。このあたりは、これからの大きな、これはむしろ国としてのテーマでもあるのではないか」

とも主張した。その上で、

「引き続き、色々なところと連携しながら進めていく」

とした。

都知事選には、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)、元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)、 NHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)らが出馬を表明している。

小池氏は政党の推薦などは受けない方針だが、自民党・二階俊博幹事長は支援の姿勢を強調、公明党も事実上の支援に回るとの見方が強い。宇都宮氏は立憲民主党、共産党、社民党から支援を受ける。小野氏は日本維新の会の推薦を受けている。れいわ新選組の山本太郎代表(45)も出馬を検討しており、山本氏の動向が野党票の行方を左右しそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)