IMALU「なんでランドセルじゃないといけないんだろう」障害者アートに触れて思い出した子供の頃の記憶
2022年8月より、東京と奄美大島の二拠点生活をスタートしたタレントのIMALUさん。コロナ禍でリモートワークが進み、サラリーマンであっても勤務地に縛られずに住みたい場所に住むことが夢ではなくなってきた昨今。実際に都会から拠点を移したIMALUさんの離島ライフを、ご本人に綴っていただきます。
(以下、IMALUさんによる寄稿です。毎月1回更新予定)
「なぜ障がい者アートに興味を持ったのか」対話で気づいたこと
卒業シーズンの3月。島の郵便局で、こんな張り紙を見つけました。「君たちは島のたからです。またこの島で会いましょう。」空港近くにある郵便局だったので、きっと島から旅立つ学生が、空港まで送ってもらう道中に見えるよう貼られていたんだと思います。島では大学がないため、高校卒業後は島を出ていく子が多く、早い子だと高校から親元を離れ、寮生活する子もいます。学校が変わるだけではなく、家を出て、島を出る……。島の子たちのその勇気とワクワクを想像すると、この張り紙もなんだかグッときてしまいます。
そんな卒業シーズンの中、私は奄美の中心街・名瀬へ「障がい者アート展」を見に行ってきました。奄美の障がい者施設にいる方たちの作品はもちろん、佐賀にある施設「PICFA(ピクファ)」の方々が島に来られ、アーティストのライブペイントやトークショーなども行われました。
私が奄美に来て間もない頃、島で知り合った方から嶺田匠さんという方の絵をプレゼントしていただいたことがあり、以来自宅にずっと飾ってあるのですが、今回のイベントでは彼の作品も展示されており、とても嬉しくなりました! 我が家のリビングに飾ってある匠さんの絵は、明るい気持ちにさせてくれるから、特にお気に入り。
イベントでは、商店街の中にある小さなカフェバーで佐賀の施設「PICFA」の代表である原田さんのトークショーがありました。障がいを持つお兄様の話、施設を始めたきっかけ、そして施設をやっていく上でのお金の話など、色々とオープンに話してくださり、なかなか興味深い内容でした。約1時間ほど、1人で話されていたのですが、あっという間に終了。原田さんのトークスキルの凄さにも感動しました。
トークショー終了後、直接原田さんに話しかけ、ご挨拶させていただきました。障がい者アートに興味があることを伝えると、「ご親戚に障がいの方いるんですか?」と聞かれ「親戚にダウン症の子がいます」と、とっさに親戚の話で返してしまったけれど、“なんで障がい者アートに興味を持ったのか……”原田さんと話した後、自分でも改めて考えてみると、小学生の時の思い出が蘇りました。
いろんなことに疑問を持っていた小学生時代
小学校高学年になる頃。私は仲のいい友人たちと「なんでランドセルじゃないといけないんだろう?」「なんで小学生はアクセサリーが禁止なんだろう?」など、色んなことに疑問を持っていました。当時のことを友人と『レジスタンス時代』と呼んでおり(笑)、小学生なりの不満や疑問を大人たちに投げかけていたのです。
そんな小学生時代の休み時間……。大人ぶっていた私たちレジスタンスは校庭で遊ぶことなく、いつも校内で喋っていました。学校内をぐるぐると歩いていた時か、何がきっかけで見つけたかは覚えてないのですが、学校の一番隅っこの教室で、障がいを持った子たちが集まる教室に辿り着いたのです。
みんなが校庭で遊んでいる中、彼らはいつも教室内で遊んでいました。なぜ私と友人はその教室に入ろうとしたのかは分かりませんが、その日を境に休み時間はその子たちと遊ぶのがルーティンになったのです。いつも“うちらvs大人”で考えていた私たちは、みんなが外で遊んでる中、この子たちだけ隅っこの小さな教室で遊んでるのはフェアじゃない! やっぱり大人はおかしい! とも思っていたのかもしれません。そして何より、彼らと遊ぶ時間が、とても楽しかったのを覚えています。振り返ると、私たちが一番子どもらしくいられたのは、彼らといる時間だったのかもしれません。あの時遊んでくれてた子たちは、今でも元気にしてるかな……。
障がい者アートは、新しい感性や鮮やかな色使い。一つのものを作り続けたり、とんでもなく細かい作業で出来上がる作品なんかもあります。アートのことは全然分かりませんが、障がい者アートに惹かれるのは、思い切り何かを発散しているような、周りを気にせず、自分を貫いているような、そんなパワーを作品に感じるからかもしれません。レジスタンス時代の小さな私が感じていた不満や疑問も、何かを発散したかったんだと思います。今でもそのパンクな私は心のどこかにいて、自分を持ってる人や、個性豊かな作品を見ると、ついつい惹かれてしまいます。
「今を全力で楽しむ!」犬の生き方から学んだこと
話は変わりますが、愛犬バルーが今年で15歳になります。11歳の頃に奄美に一緒に来たので、島生活もあっという間に今年で4年です。昨年から足の力が弱くなっていて、今は後ろ足を動かすことが難しくなり、最近ペットカート(ベビーカーのようなもの)と車椅子デビューをしました。病院で診てもらっても、特に目立った問題はなく、バルーの犬種コーギーによくある『変性性脊髄症』(通称:DM)の可能性があると言われ、遺伝子検査をしたところ、【発症の可能性が高い】という結果が出ました。DMは後ろ足から麻痺をし、徐々に前足の方へ進行していく病気です。実は以前飼っていたコーギーも同じ診断を受けたことがあり、最後は車椅子に乗っていました。
バルー本人は、後ろ足が動かないことをあまり気にしてないようで、引きずりながらもよく動くし、食欲も変わらず、元気に過ごしています。犬を飼っていると、いろんなことを教えてもらえますが、病気や怪我、そして老化に対し、犬は悲しくなったり、くじけたり一切しません。毎日のご飯やお散歩を変わらず楽しんでいる前向きな姿は、本当に見習いたいなと思います。
自分で歩くのが難しいので、ペットカートに初めて乗せてみた時は「何に乗せられたの?」と言うような不思議そうな顔をしていたし、車椅子に乗せてみた時は、理解が追いつかないようで、そのまま突っ立ったまま……。しばらく立っていると、車輪が後ろの方へ動いていき、バックしたまま止まれなくなってしまいました(笑)。ちなみに以前一緒に暮らしていた子は初めて車椅子に乗ったとき「前に進める!!!」とすぐに理解して一瞬で乗りこなし、走り回っては何度も私の足が車椅子に轢かれていたほどでした。当たり前ですが、その子の性格によって、車椅子への対応力が違うのも面白い。
DMは治るものではないので、痛みなく過ごせるよう引き続き、自分たちでできるケアを頑張るのみ。愛犬が歳をとっていく現実に悲しむ飼い主とは裏腹に、毎日を変わらずエンジョイしているバルーを見ると、私が落ち込んでる場合じゃないと思えます。「寝る! 食べる! そして今を全力で楽しむ!」犬の生き方は、人生を楽しむヒントでいっぱいです。よし、私もバルーのように“今”を大切に過ごしていこう。
