実業家のマイキー佐野氏のYouTubeチャンネル「マイキーの非道徳な社会学」が、『来るぞ新・チャイナショック。内製化を強化する中国との貿易で被害を被る国とそのワケを解説【マイキー佐野 経済学】』と題した動画を公開した。米中対立の経済的本質について、佐野氏独自の切り口で分析が展開されている。

佐野氏はまず、現在の米中対立を「近隣窮乏化モデル」として位置付ける。これは自国の経済成長を優先するため、他国の利益を犠牲にする政策様式を指す。自国の輸出競争力を高める一方で、他国産業に損害を与えても構わないという姿勢であり、米中双方にその傾向が見られると指摘した。

この概念自体は新しいものではない。佐野氏によれば、1930年代のアメリカによるスムート・ホーリー関税法がその典型例だという。当時は全面的な関税引き上げにより貿易量が絶対的に縮小し、需要不足やデフレを招いた。しかし現代の米中デカップリングは様相が異なる。対象はハイテクやグリーン技術、重要鉱物といった特定分野に限定され、サプライチェーン再編コストの増大や技術標準の分断、経済安全保障の武器化といった複合的影響を及ぼしている。

特に重要なのが、Goldman Sachsのレポートを引用した分析だ。かつては中国の生産が1%増加すれば、サプライチェーンを通じて他国の生産も0.2%押し上げられていた。ところが現在では中国が部品や技術の内製化を強力に推進しているため、中国の生産拡大が逆に他国の生産性をマイナスに転じさせる構造に変化したという。佐野氏はこの点を、2029年までにインド以外の周辺国が痛手を受ける可能性があるとして警告した。

実際、中国はアメリカの関税強化にもかかわらず東南アジアや南米などでシェアを拡大し、貿易黒字は1兆ドルを突破した。一方で輸入は減少傾向にあり、戦後の自由貿易モデルが前提とした「輸出増と輸入増の相互作用」から大きく乖離している。佐野氏は、中国が2026年の5カ年計画でこの輸出主導型戦略をさらに加速させる可能性が高いと述べた。

他方で中国には地方政府融資プラットフォームの負債問題や不動産市場の低迷といった爆弾も存在する。連鎖的デフォルトが金融システムの機能不全を招くリスクはゼロではないと佐野氏は冷静に分析する。しかし同時に、レアアースや半導体輸出規制を巡る攻防で中国がアメリカに譲歩を引き出した事例を挙げ、交渉力は確実に高まっていると評価した。

米中の対立は、どちらが資源や技術を先に確保できるかという開発スピード競争の様相も呈している。佐野氏は、この競争の帰趨が2026年以降の交渉力バランスを左右すると指摘し、周辺国も市場開拓先を巡って中国と競合せざるを得ない状況にあると警告した。世界経済の構造変化を理解する上で、極めて示唆に富む内容である。

チャンネル情報

マイキー佐野です経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます〜2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営