なぜ季節の変わり目で心と体がしんどくなるのか?【その、しんどさは「季節ブルー」】

写真拡大

「季節ブルー」の現状と背景にある心と体のメカニズムを西洋・東洋医学の両面から見ます。不調のサインを多角的に捉え、より深い自己理解につなげましょう。

季節の変わり目を敏感に感じてしまう人

本書で言う「季節ブルー」とは、特定の季節の変わり目に決まって心や体の不調が現れる状態を指します。

医学的には「季節性感情障害(SAD)」とも呼ばれ、特に日照時間が短くなる秋冬に発症する「冬季うつ」が知られていますが、春や梅雨などほかの季節にも不調を感じる人は少なくありません。

たとえば、本書の冒頭で紹介した症例以外にも、さまざまなケースがあります。

● 春になると…
・ 理由もなくイライラするようになり、ささいなことで友人や親に当たり散らしては自己嫌悪に陥る。
・ 勉強に集中できず、夜も寝つきが悪くなり、朝は頭が重く起きるのがつらくなる。
・ 肌が荒れ始めてニキビが増え、便秘と下痢を繰り返すようになった。

梅雨や夏になると…
梅雨の時期や夏の疲れが出てくる晩夏になると、とにかく体がだるくて重く、朝なかなか布団から出られない。日中も強い眠気に襲われ、家事をこなすのも億劫に感じる。
・ 食欲があまりなくなり、あっさりした麺類ばかりを選びがちになる。少し階段をのぼっただけで息が切れ、かぜも一度ひくと長びくように。

● 秋冬になると…
・ 寒くなると、肩こりがひどくなり、まるで鉄板が入っているようにガチガチになる。
・ 同じ場所が針で刺されるように痛む頭痛が、頻繁に起こるようになる。
生理痛が特に重くなり、経血にレバーのような塊が混じって気になる。目の下にクマができやすく、顔色もどんよりとくすんで見え、メイクのノリも悪く感じる。

これらは、単なる気分の問題ではなく、季節の変化という大きな自然の営みに対して起こる、「心と体、双方にわたる不調和な状態」と定義できます。

1年中快適な室温に保たれた人工的な環境は、私たちの体が本来持つ自然な気温の変化に対応する抵抗力を弱めます。食事、道具、生活習慣などあらゆる面で自然から乖離 した生活を送ることが、季節の変化に順応するための心と体のバランスを崩し、不調を引き起こす原因となっているのです。

季節ブルーの自分に気づくことから

季節の変わり目に感じる「何となくの不調」。それを、
「いつものことだから」
「気のせいだろう」
「年のせいだろう」
などと、放置していませんか? その小さなゆらぎは、やがて心と体のさまざまなトラブルにつながる可能性があります。一時的だった気分の落ち込みや疲労感が慢性化し、仕事や日常生活に支障をきたすほどの意欲低下や睡眠障害に発展することもあるのです。

こうした季節性の不調が深刻化し、社会生活に影響が及ぶようになると、前述した季節性感情障害(SAD)と診断されることがあります。

本書は、SADと診断されるほど重症化する手前の段階、つまり多くの人が経験する「季節ブルー」に悩む方に寄り添うためのものです。

まずはご自身の心と体の不調な状態に気づき、その声に耳を傾けてみましょう。そして、その不調を無視せず、季節の変化に伴うものだと受け止めてみてください。

東洋医学には「未病先防(みびょうせんぼう)」という考え方があり、病気になる前の段階で対処することを最も重視します。心と体の小さなサインに気づき、大切にケアをしてあげること。それが、健やかな毎日を守るための、何より重要な一歩なのです。

【出典】『その、しんどさは「季節ブルー」』著:長沼睦雄