FRED AGAIN..、山下達郎、Vulfpeck、マヤ・デライラ、Us……『フジロック ′25』要注目の10組をピックアップ!
7月25日、26日、27日に新潟県湯沢町 苗場スキー場で開催される『FUJI ROCK FESTIVAL '25』(以下、フジロック)。開催まで1カ月を切り、最終ラインナップとタイムテーブルも発表されて、一層の盛り上がりを見せてきている。そんな今年のフジロックのラインナップから、注目アーティスト10組をピックアップ。豪華ステージをさらに楽しむためのガイドとなれば幸いだ。(編集部)
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<7月25日>■FRED AGAIN..
初日のヘッドライナーは、ジャスティン・ビーバーからブライアン・イーノまで幅広いアーティストとコラボレーションを行ってきた、英国の今を代表するプロデューサー FRED AGAIN..。フジロックでのパフォーマンスが初来日公演となる彼は、グラストンベリー(『Glastonbury Festival』)やコーチェラ(『Coachella Valley Music and Arts Festival』)といった名だたるフェスを沸かせてきたフェス巧者。ハウス、エレクトロニカはもちろん、UKガラージ、アンビエントと多種多彩なジャンルをブレンドして独特の世界を創り出す彼の手腕がいかんなく発揮されたライブになるだろう。日常生活の中で感じるリアルな心象を描いた代表作『Actual Life』シリーズは、ダンサブルであると同時に心の深い部分にも染み渡るサウンド。最先端であると同時に普遍的な音楽の形が浮かび上がってくるはずだ。
■Vaundy
今年1月に行ったさいたまスーパーアリーナ公演では2日間で延べ76,000人を動員し、2026年には男性ソロアーティスト史上最年少となる4大都市ドームツアーも決定。まさに時代の寵児であり、これからの日本のポピュラーミュージックを牽引する存在となったVaundy。フジロックというワールドワイドなアーティストが集結する舞台で、日本の若き才能を象徴する存在となれば、彼ほどの適任者はいないだろう。詞曲やアレンジのみならずデザインから映像まで、あらゆる見せ方を自身でプロデュースするVaundyならではのイマーシブな空間は、苗場の大舞台でも壮大なスケールで創出されるはず。彼の曲は映画やアニメ、ドラマの主題歌になっているものも多いので、この日のセットリストはほとんどがヒット曲になることが予想される。とりわけ「怪獣の花唄」は大合唱になること間違いなしだろう。
■Ezra Collective
ロンドン発のクインテット。ジャズをベースにしながら、ヒップホップ、レゲエ、ソウルなどの要素も混ざり合ったハイブリッドなサウンドが魅力。2022年に発表したアルバム『Where I'm Meant to Be』はUKの栄誉ある音楽に贈られるマーキュリー賞を獲得するなど実力派の誉れ高く、ライブでは演奏スキル抜群のメンバー同士が交わすアドリブや、自由なインプロビゼーションも見どころの一つ。ファンキーでポジティブなエネルギーが溢れるライブサウンドは、多様な音楽的ルーツと高い演奏技術に裏打ちされており、フェスの開放的な空間にもぴったり。
■マヤ・デライラ
2000年生まれ、北ロンドン出身のシンガーソングライター。ジャズ、ソウルのほか、ブルースやゴスペル、カントリーの要素も入った、少しスモーキーで温もりのある歌が特徴。ジャズの名門 ブルーノート/キャピトルからデビューしたこともあって、質実剛健な若手として期待を集めているアーティストだ。ギターの腕前も相当なもので、ルーパーを使った演奏など通好みなサウンドも持ち味。その一方で、恋人との別れを歌った「Breakup Season」をはじめ、年頃の女性の等身大の心模様を歌った楽曲がSNSを中心にバズっており、伝統と今様の表現スタイルを良いバランスで共存させている。「Tangerine Dream」をやってくれたら極上のチルアウトタイムが過ごせそうだ。
■Us
2年連続の出演となったフィンランド出身のガレージロックバンド。昨年のフジロックでは6つのステージで熱い全力パフォーマンスを行い、フジロッカーたちに強烈なインパクトを残した。SMASHの日高正博氏も「俺のお気に入りのバンド」と紹介しており、フジロックにおいては、かつてのThe Musicを彷彿とさせるシンボリックな存在になりそう。力強いリズムとエネルギッシュなギターサウンドが印象的だが、今年5月の来日公演ではアコースティックで美しい歌メロの曲を披露したりと表現の幅も広がっている。昨年よりも一段と成長した姿を見られることは間違いない。
<7月26日>■Vulfpeck
LAを拠点とする4人組。シンプルでありながら中毒性の高いグルーヴを繰り出し、ミニマルファンクを奏でる彼らは、ライブ映え間違いなしの最新作『Clarity of Cal』を携えて登場。そのほかにもApple PayのCMでもお馴染みの「Back Pocket」や、きらびやかなピアノのフレーズとThe Jackson 5のようなコーラスが印象的な「Animal Spirits」といった確実に盛り上がる曲はいくらでもあるし、たとえ1曲も知らなくても全然大丈夫。そんな親しみやすさも彼らの良さだ。驚異的な演奏力で繰り広げられるダンサブルで洗練されたサウンドは「ファンクを変えたファンク」とも称される。特にジョー・ダート(Ba)の卓越したベースプレイには注目だ。
■山下達郎
洋楽の影響を受けながら、その最良のエッセンスを日本のポピュラーミュージックに落とし込み、長年にわたって数々の名曲を生み出してきた山下達郎。現在、世界的にブームになっているシティポップ最大の貢献者は、タイラー・ザ・クリエイターやNight Tempo、マック・デマルコなど海外のアーティストたちにも敬愛されている。そんなリビングレジェンドは意外にもフジロック初出演。彼のライブは、洗練された楽曲の魅力はもちろんのこと、音質やアンサンブルの精度も含め、演奏のクオリティが圧倒的に高いのが特徴だ。単独ライブはチケットを入手するのが困難なことでも知られているので、この機会を見逃す手はない。特に野外フェスではコーラスに竹内まりやが参加したこともあるので注目。
<7月27日>■Vampire Weekend
フジロックに5回目の出演となるVampire Weekendは、昨年リリースした5作目となるアルバム『Only God Was Above Us』を携えての出演。アルバムごとに新しいことに挑み、常に“今”の感性をサウンドに反映させてきた彼らも、気づけば結成から20年目となりベテランの域だ。実際、近頃のライブではバンドとしての円熟味すら感じさせている。フジロックでは2022年にもヘッドライナーを務めたが、その時はPAのトラブルで演奏が中断するという不運に見舞われた。彼らにとって“リベンジ”となるステージだけに、気合い漲る、素晴らしい内容になるはずだ。
■Mei Semones
日本人の母とアメリカ人の父を持つニューヨーク在住のシンガーソングライターであり、フジロック初登場となるMei Semones。アルバム『Animaru』で今年5月にデビューを果たし、独特のミクスチャーセンスが魅力的。「Donguri」や「Zarigani」などボサノバ風味のサウンドと日本語のコンビネーションもおもしろいし、バークリー音楽大学で培われたギターのテクニックも折り紙付き。Red Hot Chili Peppersのフリーにも絶賛された、得難い個性をぜひ体感してほしい。
■羊文学
2016年に新人バンドの登竜門となるステージ「ROOKIE A GO-GO」に出演したのを皮切りに、2021年にはRED MARQUEE、2023年にはGREEN STAGEと着実にステップアップしてきた羊文学。今や日本のロック界でも揺るぎない存在感を示している彼女たちのサウンドは繊細さと大胆さを併せ持ち、“静と動”のコントラストを醸し出していることが特徴だ。昨年の横浜アリーナ単独公演は即日完売したほか、ソウル、北京、上海、香港、バンコク、シンガポール、クアラルンプール、マニラなどをめぐるアジアツアーも開催。今秋からは再びアジア各国に赴く。時代の気分を映し出す詞の魅力も素晴らしく、ありがちな形容ながら、まさに音で紡ぐ「文学」の様相を呈している。ますますスケールアップした羊文学のライブ、見逃す手はない。
(文=美馬亜貴子)
