「生半可な気持ちでは戻れない」怪我を負う前よりもスピードアップ!宮市亮はただでは転ばず。不屈の“Fight”は心を動かす
昨夏、10年ぶりに復帰した日本代表での韓国戦で、右膝前十字靭帯断裂を負った際も、決してただでは転ばなかった。
復帰5戦目となった6月10日の柏レイソル戦で、終了間際に劇的な決勝点を叩き込んだ横浜F・マリノスのスピードスターは、怪我をする前よりも足が速くなったと言う。計測した時速は37キロだ。
「現役を続けます、ピッチに戻りますっていうなかで、やっぱり生半可な気持ちでは戻れない。なんとかパワーアップした状態で帰りたいっていうのは、チームトレーナーともすごく話をしていて。そこに取り組んできたので、スピードは本当に上がってきています。GPS上では37キロという数字が出ているので、僕の持ち味であるスピードは変わっていません。
ただ、まだまだ改善するところもありますし、伸びていくところもあると思いますけど、ひとまずはピッチに立って、ちゃんとサッカー選手として帰ってこれたのが何よりです」
昨年12月に30代へ突入し、ひとつの節目を迎えた。気持ちの変化みたいなものはあったのだろうか。
「やっぱりゴールのあり方というか、ゴールの考え方がものすごく変わってきました。若い時は本当に自分がゴールを決めて、自分が嬉しいっていうところでしたけど…この間のゴールみたいに、自分のゴールっていうよりも、本当にチームで取ったゴールというか、勝利に貢献できるところが、すごく嬉しいですね」
若い頃はやんちゃだったわけではないようだ。
「やんちゃっていうほど、やんちゃなタイプじゃないですけど、でもやっぱり、のし上がっていくためのゴールを意識していました。ヨーロッパで、チームのためっていうよりは、どこか自分のキャリアステップのためのゴールだったのが、今はチームのためのゴール。正直、もう僕がゴールを決めなくても、決めようがどうでもいい。本当に勝利できればいいし、より勝利に飢えるようになってきたと思います」
どんな困難に直面しようとも仲間のために走り続ける姿は、周りの人々の心を動かす。インタビューに立ち会った広報の方が、こんな象徴的なエピソードを明かしてくれた。
「日産スタジアムで勝った時は、Oasisの『Don’t Look Back In Anger』をかけて、引き分けか負けの時は『Fight Song』を場内でかけているんです。でも去年、怪我した亮が試合後、サポーターの前に出てきてくれた時、その日は勝ったのに『Fight Song』をうちの演出担当がアドリブでかけたんですよ。ファイトってことで」
宮市は誰よりもタフで、チーム思いで、人々に愛される男だ。
※第2回終了(全12回)。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
