異例のオフシーズンである。
 J2リーグが10月23日に全42節を終えた。昨シーズンは12月5日に最終節が行なわれたので、1か月以上も早い。J1参入プレーオフに出場したファジアーノ岡山、ロアッソ熊本、大分トリニータ、モンテディオ山形を除く18のクラブは、長いオフシーズンに突入することになった。

 J1は11月5日に最終節を迎えた。昨シーズンは12月5日が最終節だったので、こちらも1か月ほど早い。リーグ16位でJ1参入プレーオフ決定戦に出場するチームを除いて、最終節終了とともに今シーズンの全日程を終えることになる。

 カタールW杯開催による空白期間を、どのように埋めるべきなのか。個人的には選手の体調管理が難しいと感じていたが、各クラブは時間に余裕のある「いまだからできる企画」を立案している。

 J2のFC琉球は、11月19日に「首里城再建支援キャリティマッチ」を行なう。

 沖縄県のシンボルであり、世界遺産に登録されている首里城は、19年10月末に火災に見舞われた。FC琉球は首里城の再建に対するアクションとして、2020年のユニフォームの売り上げの一部を寄付した。

 クラブからのもうひとつの働きかけとして、20年7月下旬から8月初旬に「復興支援チャリティーマッチ」を開催する予定だった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、延期を余儀なくされていた。

 ようやく訪れた日程の余裕を活用して、いまこのタイミングでチャリティーマッチを開催することは、先延ばしになっていた約束を果たすことにとどまらず、「首里城の再建」についての関心を高めることにつながるだろう。地元のスポーツチームだからこそできることであり、やるべきことでもある。いい企画だと思う。

 11月20日には、「オシム元監督追悼試合」が行なわれる。

 ジェフ千葉と日本代表を率い、今年5月に逝去したイビチャ・オシムさんの薫陶を受けた選手たちが、ジェフのホームスタジアムであるフクダ電子アリーナに集う。

 故人にゆかりのある選手たちが集まり、ファンは久しぶりにピッチに立つ選手のプレーを楽しむというのが、こういった試合で描かれる風景だ。現役さながらのプレーを見せてくれる元選手がいれば、体型が変わってしまった選手もいたりする。ピッチに立つ選手を通して、自分自身の変化に思いを馳せる人もいるだろう。

 オシムさんを偲び、かつての選手たちのプレーを見るだけでも、ファンにとっては満足度が高い。さらに当日は、小学校5、6年生を対象としたサッカー教室も行なわれる。ジェフ千葉でオシムさんの指導を受けたOBたちが、「考えて走る」本格的なトレーニングメニューを提供するという。

 サッカーは日々アップデートされていく。練習メニューも時代のトレンドを反映したものになっていくが、変わらないものもある。「考える」ことと「走る」ことは、サッカー選手に求められる要素で「核」となるものだ。2030年も、2050年も、思考を働かせる選手、走ることを厭わない選手は、サッカー界で生き残っていくだろう。重用されていくだろう。オシムさんが日本に残してくれたものを伝えていくことは、未来への種まきにもなる。これもまた、いい企画だと思う。

 大掛かりなチャリティーマッチとか、イベントでなくてもいい。はからずも訪れたオフの活用方法として、コロナ禍でできなかったことへの取り組みに期待したい。