※この記事は2021年11月01日にBLOGOSで公開されたものです

衆議院選挙から一夜明けた11月1日、自民党の岸田文雄総理が党本部で記者会見を開いた。会見では夫婦別姓制度について記者から問われる一幕があった。

岸田総理は「議論は進めていくべき」としたが、「一般の方々が十分理解されていない部分もあるのではないかという点も感じている。国民の理解ということについても政治の立場から議論を進めていくことが大事ではないか」と述べ慎重な姿勢を見せた。

朝日新聞(「自民に夫婦別姓の推進議連、100人超 慎重派も設立へ」)によると、岸田総理は今年3月、自民党の有志議員でつくる「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」を自らも呼びかけ人となり設立したが、自民党総裁選では選択的夫婦別姓制度について「慎重に判断すべき」としていた(【独自】自民党総裁選4人の候補者に政策方針アンケートを実施 消費増税の可能性から夫婦別姓の是非まで)。

夫婦別姓制度に関する記者と岸田総理の質疑応答全文は以下の通り。

記者:衆院選では岸田総理が総裁選で掲げた「生まれ変わった自民党」を十分アピールできなかったのではという指摘があります。選挙を振り返って国民に変化を伝えられたとお考えか。「生まれ変わった自民党」を今後アピールするために例えば選択的夫婦別姓を加速させるというお考えはありますか。

岸田総理:今回の選挙を通じまして、自公政権に対して国民の信任をいただいたと受け止めておりますが、選挙期間中自民党に対して厳しい声が寄せられたことはありました。こうしたことはしっかりと受け止めなければならないと思いますし、自民党が生まれ変わったかどうかは有権者のみなさんが判断されることでありますので、引き続き我々としては不断の努力を続けていきたいと思っています。

そして選択的夫婦別氏制度について取り組む考えはあるのかという話がありました。私は社会の多様性というのは活力の源であるということから、多様性は大事にしていかなければならないと思っています。そして選択的夫婦別氏制度については、実際困っている方、必要とされている方がおられますので、議論は進めていくべきだと思っています。

しかしながらこうした制度は社会全体として受け入れる制度であるからして、国民の幅広い理解が伴わなければならない。私自身地域、あるいは地元で色々対話をする中で、この制度についての理解、一般の方々が十分理解されていない部分もあるのではないかという点も感じております。ぜひ国民の理解ということについても政治の立場から汗をかいて議論を進めていくことが大事ではないかと思っています。