豚肉や牛肉をブタやウシの細胞を培養して作る培養肉は食糧問題の一つの解決策として注目されています。そんな培養肉をヒトの細胞から作る「ウロボロスステーキ」というアイデアが、ロンドンのデザイン・ミュージアムが選出するデザインオブザイヤーにノミネートされています。

Ourochef Inc - Your cultured self

https://www.ourochef.com/

Ouroboros Steak grow-your-own human meat "technically" not cannibalism

https://www.dezeen.com/2020/11/13/ouroboros-steak-meal-kit-andrew-pelling-grace-knight-orkan-telhan/

ウロボロスステーキは、自身のほほの細胞を綿棒でこすり取り、それをキノコの菌糸由来の土台の上で3カ月ほどヒトの血清を与えながら保温することで一口サイズの食肉を培養します。ウロボロスステーキという名前は、自らの尾を食べ続ける伝説上のヘビウロボロスにちなんで名付けられたとのこと。なお、ウロボロスステーキはデザインコンセプトであり、実際に販売されているわけではありません。





近年、豚の細胞から人工ベーコンを培養したり、3Dプリンターでチキンナゲット用の鶏肉を作ったりと、培養肉への関心が高まっており、2025年には市場規模が5億7200万ドル(約600億円)に達するという予測もあります。そんな培養肉を開発する企業は「培養肉は現在主流の食肉産業と異なり動物を傷付けることなく持続的に食肉を産出することができる」としていますが、実際には食肉の培養には食肉処理される母ウシの胎内にいる胎児の血液を用いて作られたウシ胎児血清が使われているため、既存の食肉産業と同じく動物の死を伴うという指摘もあります。ウロボロスステーキというアイデアは、こういった状況に対する問題提起として開発されたものだそうです。

ウロボロスステーキを開発したアンドリュー・ペリング氏は「ウシ胎児血清には多額のコストがかかり、多くの動物の犠牲を伴いますが、培養肉を開発するいくつかの企業はこの問題を解決したと主張しています。ですが、私の知る限り、ウシ胎児血清を用いることなく食肉を培養する科学的に根拠のある技術はありません。培養肉産業は急速に発展しているためこのような技術の根底にある問題を解決することは非常に重要です」と培養肉産業の問題点を語りました。

また、同じくウロボロスステーキの開発に関わった工業デザイナーのグレイス・ナイト氏は「ウロボロスステーキの培養に用いるヒトの期限切れ血清はウシ胎児血清と比べて安価で、より持続的に供給可能です。人々はヒトから培養した肉を食べるウロボロスステーキをカニバリズムだと捉えるかもしれませんが、これは技術的に言えばカニバリズムではありません」と語っています。