イラン攻撃で株価大荒れの中、必要なのは「株を手放す勇気」だ!「株主優待の罠」に専門家が警鐘

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心臓に悪い―。そう感じた人も多いはずだ。

米トランプ大統領とイスラエルによるイラン攻撃で、株式市場は大きな乱高下に見舞われた。マーケットは攻撃前の株価水準を回復したが、米国は新たにキューバへの攻撃をほのめかし、緊迫続く国際情勢は予断を許さない。

投資をしている人は、二転三転する状況に肝を冷やしたり糠喜びをしたりと、一喜一憂した人も多いだろう。はたして、「人生の後半戦」において、心理的ストレスを感じるほどの資産運用は必要なのだろうか―そんな疑問が生じても不思議ではない。

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株主優待のために抱える「含み損」

企業が株主に自社商品やサービスを贈呈する株主優待株も個人投資家に人気だが、こちらも、そろそろ卒業を考えてもいい時期かもしれない。

株式アナリストで、エフピーアイ代表の藤ノ井俊樹氏が「優待の罠」に注意を促す。

「優待がもらえるからと、惰性で持ち続けている銘柄には断捨離が必要です。数千円の地元特産品やカタログギフトをもらうために、多額の含み損を抱えている銘柄、孫のために買ったが使わなくなったファミレス・アパレル株、体力や食の好みに合わなくなったレジャー・飲食株は保有を見直すべきです」

ファイナンシャルプランナーの丸山晴美氏はたとえばこんな銘柄を挙げる。

「ANAホールディングスや日本航空は飛行機に割引運賃で乗れる株主優待券をくれますが、帰るべき実家がもうなくなっていたり、旅行でも上手に使えなくなったりしているのであれば、売り時ではないでしょうか。大手旅行会社のエイチ・アイ・エスなども同様です。100株で2000円分の株主優待券がもらえますが、クーポンがあるからと言って旅行を計画するのもおかしな話ですよね」

含み損を抱えた金融商品を処分する際には心理的な負担がかかるが、損切りにメリットがないわけではない。

「多くの方は『源泉徴収ありの特定口座』を使っていると思います。これだと証券会社投資商品の損益を計算し、利益にかかる税金を源泉徴収して、納付してくれる。

損切りを利益確定と組み合わせること(損益通算)で、納付する税金を減らすことができるのです。仮に株式の譲渡益が年間50万円だった場合、その約20%(約10万円)が税金として徴収されます。一方、損失が30万円あった場合は、損益通算で差し引き20万円が利益となり、税金はこれにかかる約4万円。差額は還付されます」(前出・雨宮氏)

爆騰したAI関連株はどうすればいいか

このところ、大きく株価が上昇してきたAIやデータセンターにまつわる半導体関連企業の株は、そろそろ利益確定をしておくのもいい。

ファイナンシャルプランナーで、ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏がその方法を解説する。

「半導体大手のキオクシアホールディングスや、電線大手のフジクラと古河電気工業はAI用データセンター向けに出荷増が見込まれ、株価が強い動きを見せています。ただ、この先も同じ勢いで上がっていくとは想定しづらい。幸運にもこうした銘柄を持っているのであれば、一部を利益確定して現金にするという判断も間違いではありません。

AI関連に限らず、長年保有して株価が2倍以上になっている銘柄があれば、半分売って元本を回収するというのは非常に合理的な投資方法です。元本を確保すれば、その株で損することは絶対にありませんから、心に余裕を持って相場に向き合えるでしょう」

保有を続けるべき銘柄もある。代表的なのは現時点で2〜3%程度の配当利回りを得られるメガバンク株だ。前出の藤ノ井氏が言う。

「たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループは、ベタですが日本各地の一等地に支店を構えていて、安心感があります。

株を継続保有するかどうか考える際は、取得単価に対する配当利回りで計算しましょう。三菱UFJ株を10年前に購入していた場合、当時の株価は約530円で配当は18円、配当利回りは3.5%程度でした。現在、株価は約2900円で配当予想は74円となっていて、配当利回りは2.5%程度です。しかし、10年前の取得単価で計算すると、配当利回りは約14%になります。こんな高配当銘柄を手放す理由はありません」

おカネを自分のために使おう

株で儲けた資金は生活を楽しむために使うべきだが、余剰は新たな投資に振り向けてもいい。物価上昇率(3.1%='25年)並みの資産運用をしなければ、現金は目減りしていくからだ。なお、投資は売却益にも配当金にも税金のかからないNISA口座を活用することが必須だ。

そのうえで、購入するなら何がいいのか。前出の頼藤氏は自身も実践している投資法を指南する。

「『オルカン』で親しまれる全世界の株式に投資する投信や、米国の代表的な株価指数に連動する『S&P500』をNISAで買うのが長期投資で資産を築く王道であることは間違いありません。

ただ、投資の果実として分配金収入が得られる投信も、生活のゆとりとなります。日経平均株価に採用された銘柄の配当利回りが高い上位30社に分散投資する日経平均高配当利回り株ファンドは、オルカンなどと比べて為替リスクが低く、かつ年に2回の分配金が入ってくるのが魅力です。利回りは約4%で、ファンド自体の値上がりも期待できる優秀な設計です」

前出の窪田氏が「株を手放す勇気」について総括する。

「高齢世代はおカネを使うことに抵抗感を持っていて、さらに株を売ることに罪悪感を抱いている人も多い。でも、あなたがどんなに株のことを思っていても、株のほうはあなたのことを思ってくれないわけで、躊躇せずに手放してしまったほうがいいと思います。株を現金化して自分のために使うことは、人生において必要なことですし、おそらくそのほうが幸せです」

自分の運用資産がどうなっているのか、証券口座を確認することから始めよう。

週刊現代」2026年5月11日号より

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