廣津留すみれの「ハーバード現役合格」を導いた最強のリビング学習メソッド
娘が大学に入学したのを機に起業し、現在、幼児から高校生までを対象としたオンライン英語教室やハーバード生を講師陣にしたサマースクールSIJを主宰する廣津留真理さん。娘のすみれさんは、大分という地方都市に生まれ育ち、小学校から高校まで公立校に通い、海外留学したこともないままハーバード大学に現役合格。2026年現在は、バイオリニストとして世界各地で演奏活動を行うほか、作曲家、著述家として、また、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授を務めるなど、多方面で活躍中だ。
すみれさんが身につけたハーバードに合格し、その後の社会での活躍を支えている力は、彼女が幼少期からスタートした母の真理さんとの家庭学習がベースになっているのだという。
すみれさんの学力を育んだ家庭学習法についても紹介されている『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』(講談社)をベースに、家庭での学習の基本となっていたすみれさんとの「リビング学習」についてお話しいただいた。
学習机をリビングに移動、ではない
近頃は、リビングのデスクで子どもが学習する、というご家庭も増えてきて、「リビング学習」という言葉は、巷ですっかり浸透しているようです。ただその実態といえば、単に親が子どもの学習を監視するために机をリビングに移動させているだけ、になってはいないでしょうか?
「ちゃんと勉強してるの?」「宿題終わったの?」という無言の圧力が漂うと、子どもはちっとも楽しくありません。楽しくないと感じるものは長続きしないのです。だとしたら、せっかくのリビング学習も、子どもを伸ばすことにつながりにくいのでは、と思います。
我が家のリビングには、2メートル25センチ×85センチほどの大テーブルがあります。娘のすみれは、小さいときからリビングで私とともに家庭学習をしており、眠るとき以外で個室に行くのは、好きな音楽を一人で聴いたり、誰にも見せたくない日記を書いたりするときくらい。それ以外の時間の大半をリビングで過ごしていました。一人で学ぶようになってからも、娘は自分の部屋ではなく、リビングの大テーブルで勉強をするのがつねでした。
リビングに大きなテーブルを用意するのは、家庭教育のベースは親子のオープンなコミュニケーションだから。狭い個室に子どもを閉じ込めないで、のびのびと広い空間に子どもの居場所を作ってあげれば、親子の会話は毎日自然に生まれます。
「個室の方が集中できる」は幻想
個室を与えて一人にしてあげた方が勉強に集中できるというのは幻想です。個室で勉強以外のことに集中していては本末転倒。リビングならお母さんやお父さんがすぐ近くにいるので、好奇心あふれる子どもの疑問や課題にその都度答えてあげられます。ハーバード生の多くも「子どもの頃は何か疑問があると親と話し合い、コミュニケーションのなかで課題を解決することが多かった」と答えています。
「そんなに大きなテーブル、うちのリビングには置けない」という声も聞こえてきそうですが、我が家のリビングもごく一般的な広さです。ただし、大テーブルを置く代わりに除いたものがあります。それは、ソファとテレビです。
多くのご家庭でいまだにリビングの特等席を占めているのは、テレビを載せたリビングボードとその周りを囲むソファではないでしょうか。テレビは内容(コンテンツ)次第なので一概に「テレビなんか見てはダメ!」とは言えませんが、もはやテレビも映画も動画配信サイトとタブレットやスマートフォンなどを活用すれば、好きなときに好きなプログラムが視聴できる時代になっています。せっかくの住まいの特等席を図体のデカいテレビに譲り渡してしまうのはもったいないと思います。
ハーバード生の自宅リビングには本棚が
ソファとテレビボードの代わりに我が家のリビングにもう一つあるものといえば、それは大きな本棚です。
本棚がリビングのマストアイテムなのは、読書がリビング学習では大きな役割を果たしているからです。多くの親御さんが「うちの子が本を読まなくて」「子どもには読書好きになってほしい」とおっしゃいます。けれど読書に限らず心がけたいのは「Show, don't tell. 」の精神。上から目線で「○○しなさい」と命じる(tell)のではなく、大好きなお父さんとお母さんがお手本を見せ(show)れば、その背中を見た子どもはいつの間にか真似るようになります。
私がハーバード生およそ250人にアンケートを取った結果でも、多くの学生が自宅には大きな本棚があり、両親がいつも熱心に本を読んでおり、自分も活字と触れ合うのが自然な環境で生まれ育った、と答えています。子どもたちに「本を読みなさい」というのではなく、お母さんとお父さんが楽しそうに読書をしている姿をいつも見せていたら、子どもたちも読書に興味を持って本を読むようになるでしょう。
私も娘が小さい頃「英語の勉強をしなさい」「英検に合格しなさい」「海外の大学を受けなさい」と指示したことは一度もありません。では何をしたかというと、リビングでのホームパーティです。自宅に海外からどんどん友人たちを招いて、英語で談笑しながら食事できる環境を大分という地方に作ってしまったのです。周りの人たちが当たり前に英語を話している環境が生まれたことで、娘は小学校に上がるまで、本気で日本の公用語は英語と日本語のバイリンガルだと思っていたようです。
また、「バイオリンを弾きなさい」「練習しなさい」と命令したことも一度もありません。したことといえば、リビングで親子で音楽を楽しみ「素敵な曲よね」と会話したのち、その楽譜を購入し、本棚に差しておく、というようなことです。
つまり、「リビング学習」というのは、リビングに置いた勉強机に向かって、子どもが一人勉強すること、ではないのです。ハーバード生たちの多くは「子どもの頃は、何か疑問があると親と話し合い、コミュニケーションの中で課題を解決することが多かった」と話します。家庭のリビングでの親子の会話の中でこそ、お子さんの自己表現力、思考力は育ちます。
「リビングで会話するだけで、子どもの思考力が育つなんて」と疑問に思いますか? それにはコツがあるのです。
後編「しゃべくり007でも注目!ハーバード卒・廣津留すみれを育てた「リビングで会話するだけ」の効果を母が伝授」で詳しくお伝えしていきます。
『ハーバード生たちに学んだ「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』では、廣津留すみれさんが幼少期に行っていたおうちでの学習法を具体的に紹介。すみれさんも実践していた1日5分でできる超スピード英単語&英語センテンス暗記メソッドほか「ひろつる式・英語学習メソッド」も公開しています。
(構成/下井香織)
