《10万円盗んだのは父だった》学費未納で退学危機…年50万円貯めるポイ活芸人の原点は「反面教師」だった
「明日、支払う予定の学費が消えた」。机の引き出しから10万円を抜き取り、使い込んだのは実の父でした。今では40枚以上のクレジットカードを駆使し、節約で貯めたお金で7回もハワイ旅行をしてきたポイ活の達人、芸人の井上ポイントさん。彼がお金の管理に目覚めたきっかけという、超ルーズな父から学んだお金の本当の大切さとは。
【写真】食費3万で兄弟の食費をやりくりした学生時代や父に学費を盗まれ届いた「退学通知」(6枚目/全13枚)
消えた10万円…使ったのは父だった
── 年間約50万円分もポイントを貯める芸能界屈指のポイ活芸人として知られる井上さんですが、お金や節約などに興味が強いのは育った環境などの影響が大きいのでしょうか?
井上さん:そうですね。ただ、みなさんが思うような環境とは少し違うかもしれません。というのも、僕の父はお金の管理に厳しい「節約家」とは真逆で、かなりルーズな人間でした。大学時代は僕の学費を勝手に使い、僕は一度は退学しかけたこともあったくらい。そんな父を反面教師にしたことで、「無駄遣いはせず、お金をしっかり管理しよう」と思えたのかもしれません。
── 父親が学費を使い込んで退学のピンチとは…大変でしたね。
井上さん:学費を勝手に使うなんて信じられないですよね。しかも、大学の授業料は親を頼らず、奨学金とバイト代で捻出し、定期的に自分で納めに行っていたんです。それまで学費は大切に、机の引き出しにしまっていました。でも、大学3年の支払日前日、引き出しを見たら10万円たりなくて…。自宅ですから、家族の誰かが使ったとしか考えられず、父を問い詰めると「ごめん、盗った」と。驚きですよね。
結局、期日までに学費を払えなかったため大学からは退学通知が来てしまい、僕は退学寸前に。「さすがにまずい」と感じた父がどこかから10万円を集めてきて、結果的に大学の温情で退学は免れました。実は、弟も同じ目に遭っています。弟の場合は、大学に入学しましたが、学費が払えずに途中で退学になりました。
── お父さんはお金にずっとルーズだったのですか?
井上さん:僕の知る限りはそうですね。きっかけはわかりません。僕が小学生のころに母が事故で急に亡くなったという寂しさやストレスがあったのかもしれません。父は働いてはいましたが金遣いが荒く、家にヤミ金が来たこともあったし、お金がないのにタバコやお酒に散財していました。
ただ、学費のことを除けば僕や弟が生活で特に困った、貧乏だと感じることはなかったんです。男手ひとつでふたりの子どもを育てる苦労は今、自分が父親になって想像できる部分もあり、父に対して恨みはまったくありません。でもお金に関してはきちっとしなければと強く思うようになりました。
高校生から食費やりくりで知った「節約の楽しさ」
── お父さんが反面教師になり、お金の大切さを知って、節約やポイ活に目覚めたんですか?
井上さん:高校生になると父から毎月3万円もらって、僕と弟の食費をやりくりするようになりました。スーパーのチラシをみて安い食材を買いに行き、結果的に1か月で1000円浮かせたりすることが、当時から「つらいこと」ではなく「楽しいこと」だと感じられたんです。
ポイ活を始めたのは大学生のときでした。学費のためにバイトをしていましたが、「隙間時間にもっとできることはないか」と探していたときにアンケートに答えてポイントをもらえるWEBサイトを見つけました。とはいえ、2005年ごろの話なので今のようにスマホではなくガラケーですし、ポイ活が盛んではなく、時間をかけてアンケートに答えても数ポイントしかもらえない状況。今考えればコスパの悪いものでしたけど、飲み代くらいにはなっていましたね。
── それでも今まで続けてこられたのはなぜですか?
井上さん:僕にとってポイ活は楽しいものだったからです。もはや趣味のひとつなので疲れた、つらいと感じたことはなく、キャンペーンなどをうまく利用できたときの達成感が好きです。今ではポイ活も盛んになりポイントのおかげで貯まったお金で、これまでに7回ハワイに行きました。
几帳面な性格も向いていたのだと思います。44枚のクレジットカード、数十種類のアプリの管理、キャンペーン情報のチェックが苦にならないんです。キャンペーン期間やキャッシュバックの手続きなど、必要な情報はメモ代わりにブログに書いたり、タイムツリーで管理したりしています。
── ハワイに7回も行くなど、ポイ活の実績のおかげで今ではポイントの達人として、お仕事にもつながりました。
井上さん:仕事にするつもりで続けていたわけではないのですが、コロナ禍で外出自粛になった影響で、収入が減った人が増えました。その時期もポイント需要が増え、ポイ活関連の仕事の依頼が来るようになったんです。そこから、さらに本腰を入れてポイ活に励んでいます。今ではポイ活仲間も増え、情報共有はもちろん、人脈も広がりました。
小2の息子に株の仕組みを体験させて
── 井上さん自身、現在はお子さんがふたりいらっしゃいます。お金の管理やポイ活などは教えているのですか?
井上さん:ポイ活についてはまだ教えていませんが、お金の勉強はしています。現在小学4年生の長男には、小学2年生のときに株の仕組みを説明しました。子どもなので実際に株を買えるわけではありませんが興味を持ったようです。
そこで子どものために架空の「井上ポイント証券」を作って、株の仕組みを体験させることに。「お菓子コース」「新幹線コース」「ゲームコース」と、子どもが興味を持ちやすい3つの選択肢を提示し、子どもが選んだコースの株主になれるようにしました。息子にどのコースがいいか聞くと、選んだのはお菓子コース。息子が好きなお菓子を応援したいというので、その会社の株を実際には買っていないのですが、3か月ごとに株価をチェック。株価が上がったら3か月ごとに少しだけですが、配当=お小遣いをあげることにしました。株価は下がっていることもありましたが、その場合は何もせずチャラにしています。
今後もお金の大切さは知ってもらうために、いろいろ教えていきたいですね。
取材・文:酒井明子 写真:井上ポイント

