AFX通信によると、ECB(欧州中央銀行)のロレンツォ・ビニ・スマギ専務理事は27日、ミラノで講演し、物価上昇圧力が適切に統制されていることを挙げて、現在のECBの金利政策はいまだ「状況に適応している」とし、今後数カ月の間は現行の金利水準で対応していくだろうとの見方を示した。

  スマギ理事は、インフレリスクを引き上げる要因としてはまず原油価格を挙げ、「最近の価格下落でインフレ圧力は後退したが、下がれば今度は経済成長を刺激して、金融状況の調整が必要となる場合も出てくる」と指摘した。そのほか、給与や関税などもインフレ変動要因として注意が必要と述べた。そのうえで同理事は、ユーロ圏の2006年のインフ率は1.9%で、「中期的には、インフレ率は2%程度の線に収まるだろう」との見通しを示した。

  また、経済成長については、2006年はユーロ圏内での需要が活発化したことから2.5%となったとしたうえで、2007−2008年もこの流れが続き堅調に推移すると予測。2007年の成長率予想の具体的数字は示さなかったものの、EU委員会の2.1%、市場予想平均の2.0%、OECDの2.2%との各予想と同じ程度になるとの考えを示した。 【了】

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