今さら聞けない地銀再編のウラ側 「千葉銀・千葉興銀統合」から読み解く日本の金融業界の未来

経済解説チャンネル「【世界経済情報】モハPチャンネル」がYouTubeで「【日本経済】千葉銀＆千葉興銀統合発表！なぜ地銀再編が加速してきたのか！今後の日本の金融業界！」と題した動画を公開。解説者のモハP氏が、千葉銀行と千葉興業銀行の経営統合を切り口に、地方銀行（地銀）の再編が加速している背景を深掘りした。

モハP氏はまず、地銀が直面してきた厳しい経営環境について解説する。地方の少子高齢化や人口減少に加え、ネット銀行やメガバンクとの競争が激化し、ビジネスの機会が減少していると指摘。さらに、「黒田日銀総裁時代の異次元緩和」が追い打ちをかけたと語る。この政策により、銀行の本業である貸出金利と預金金利の差（利ざや）で利益を上げることが困難になり、地銀の収益基盤は大きく揺らいだ。

しかし、長らく停滞していた再編の動きが、なぜ今になって急加速しているのか。モハP氏はその理由として3つの大きな変化を挙げる。一つ目は「日銀の金融政策の変更」である。異次元緩和が終わり、金利が復活したことで、預金獲得競争が再燃し、貸出金利も上昇する環境が生まれた。氏はこれを「むしろ今、稼げる環境になってきたことが統合を後押ししている」と分析。規模のメリットを活かして利益を最大化しようという「攻めの経営判断」が再編を促しているとの見方を示した。

二つ目の理由は「AIの活用やデジタル化の必要性」だ。顧客サービス向上のためデジタル化は不可欠だが、小規模な地銀が単独で大規模なシステム投資を行うのは難しい。そのため、経営統合によって投資体力を確保する必要に迫られている。三つ目は「SBIホールディングスの存在」である。SBIが掲げる「第4のメガバンク構想」により、全国の地銀はSBIと提携するか、あるいは別のパートナーを探すかという選択を迫られており、これが再編の外圧になっていると解説した。

モハP氏は、地銀再編はもはや避けて通れない流れであり、非効率な業界構造を改善するためにも「どんどん進めていった方がいい」と結論付けた。今回の千葉銀行の統合は、日本の金融業界が新たな時代へと突入したことを示す象徴的な出来事だと言えるだろう。